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企業経営者が考える今後の経営戦略に影響を及ぼすと思う項目、3位テクノロジー動向の把握と対処、2位デジタル技術の活用・DXの推進、1位は?

2024.01.19

経営者となるためのトレーニング・役職就任の準備の状況

経営者となるためのトレーニングの有無に関する質問では、これまでに「受けてきた」との回答が昨年度比で1割以上高まり、5割に達する。一方で、現在の役職への就任を打診された時点で「準備ができていた」との回答は4割にとどまる。

経営者となるためのトレーニングを「受けてきた」との回答した方ほど、現在の役職への「準備ができてきた」と回答が高くなることから、今後の経営を担う人材を育成するには、いかに意味のあるトレーニング機会を整備・提供するかがポイント。

【図2-(1)】これまでに経営者となるためのトレーニングを受けてきたか

これまでに経営者となるためのトレーニングを受けたことがあるかどうかを尋ねたところ、「受けてきた」(「十分に」「ある程度」の合計)との回答が約5割となった。役職別では、取締役、部長において「受けてきた」との回答比率が全体水準を下回っている。【図2-(1)】

昨年度は、「受けてきた」との回答が4割を下回っていたことから、約1割以上増える結果となった。コロナ禍の規制が緩和され研修等を実施しやすくなったという短期的なトレンドに加えて、近年のコーポレート・ガバナンスを強化する潮流を受け、各社で経営者育成に関心が高まっていると推察される。

【図2-(2)】これまでに受けたことのある経営者となるためのトレーニング機会(複数回答)

また、上記設問で「まったく受けていない」と回答した人以外に、これまでに受けたことのあるトレーニング機会を尋ねたところ、第1位は「社外の経営幹部育成研修の受講」(57.2%)、第2位は「社内の経営幹部育成研修の受講」(55.1%)、第3位は「戦略・ビジョン策定プロジェクトへの参加」(43.9%)となった。【図2-(2)】

【図2-(3)】役職別のこれまでに受けたことのある経営者となるためのトレーニング機会(複数回答)

役職別に回答結果をみると、社長では「戦略・ビジョン策定プロジェクトへの参加」がトップとなっており、「子会社出向」や「新規事業の立ち上げ」などタフアサインメントが、上記の研修受講と同水準となっている。【図2-(3)】

上位の役職であるほど、座学のみならず、実践の場でのトレーニングが必要だといえそうだ。

これまでに受けてきたトレーニングの質、レベルは企業経営の視点の内容になっているのかなど、役員研修制度化の際にはいくつかのチェックポイントが必要となるだろう。

また、従業員時代と役員就任後の意識の違いで、気づきと学びが変化するので役員のリスキリングが必要になってくると考えられる。

【図2-(4)】現在の役職就任を打診された時点で必要なスキルやマインド等の準備ができていたか

現在の役職への就任を打診された時点で、その職務の遂行に必要なスキルやマインド等の準備ができていたかどうかを尋ねたところ、「準備ができていた」(「十分に」「ある程度」の合計)との回答は約4割に留まった。

一方、「準備できていなかった」(「まったく」「あまり」の合計)は3割を超えています。役職別では、取締役、執行役員において「準備ができていた」との回答比率が全体水準を下回っており、特に就任への準備が不足していることが考えられる。【図2-(4)】

【図2-(5)】経営者となるためのトレーニングの有無と現在の役職への就任の準備度合いの関係性

【図2-(5)】は、経営者となるためのトレーニングの有無と現在の役職への就任の準備度合いとの関係性を整理したものだ。その結果、経営者となるためのトレーニングを「受けてきた」との回答した人ほど、現在の役職への「準備ができてきた」と回答が高くなる関係性が現れている。

ここまでの結果から、経営者の育成をし、就任後の活躍を促すためには、会社が役員就任前から適切なトレーニング機会を整備・提供していくことが非常に効果的だと考えられる。

また、現時点ではトレーニングの内容の多くは研修となっているが、今後は、タフアサインメントなど実践的な経験の場を付与しながら、育成に取り組んでいくことも大切だと思われる。

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