「体験型リターン」を打ち出すクラウドファンディングが続々登場
そもそもクラウドファンディングとは、不特定多数の人から資金援助を受けるための仕組みだ。
サービスを代行するウェブサイトで行われるのが一般的で、発起人がプロジェクトを立ち上げ、目的のためにウェブページなどを通じて一定期間で支援金を募る。
寄付との大きな違いは先に挙げた「リターン」にある。支援者はただ出資するだけでなく、支援金額に応じたお礼としてプロダクトやチケットなどを受け取れるのだ。そのため、リターン目当てに商品を購入するような感覚でクラウドファンディングの支援をする人も少なくない。
提供されるリターンは新商品や非売品のオリジナルグッズ、施設利用チケットなどが一般的だったが、近頃は少し変化球なものもある。国立科学博物館の例にならい、ユニークな「体験型リターン」を打ち出す団体が目立ちはじめたのだ。
そこでこちらでは、支援のお礼に面白い体験をさせてくれるクラウドファンディングプロジェクトをまとめてみた。2024年1月の執筆時に実施中のものを集めたのでチェックしてみてもらいたい。
■ 琵琶湖博物館のトンネル水槽再生プロジェクト「みんなでつくる新水槽」
2023年2月に、ビワコオオナマズの水槽が突然大破するという事故が起こった琵琶湖博物館、通称「びわ博」。事故をきっかけに行った点検では「トンネル水槽」を含む多数の水槽にひびが見つかったため、該当の水槽に関しては現在水を抜いた仮展示状態にて運営中だという。びわ博のシンボルだったトンネル水槽のアクリル交換費用として支援を募集中。
<目標金額>
10,000,000円
※第一目標金額5,000,000円達成済みのためNEXT GORLに挑戦中
<リターン>
● トンネル水槽特別内覧会招待
● 水族バックヤードツアー
● 館長(ゾウ研究者)と回るA展示室ツアー
● 限定動画による博物館オンラインツアー
● 学芸員の研究体験
など
参考:水族展示復活へ!トンネル水槽再生にご支援を|琵琶湖博物館【第1弾】|READYFOR
■ 人とクマとの共存に向け、特別訓練犬「ベアドッグ」の繁殖・育成プロジェクト
特定非営利活動法人ピッキオによる、「ベアドッグ」活動の支援を呼びかけるプロジェクト。ベアドッグとは、クマの匂いを察知し、居住地に近づく前に追い払う特別な訓練を受けた犬たちのことだ。
異常気象などが原因で、2023年は人里に現れたクマの被害が過去最悪レベルだったことは記憶に新しい。駆除数が増えている一方で、一部の種は絶滅の懸念があるという。ベアドッグとハンドラーによる捕殺を行わない活動は、自然界で暮らすクマと人との共存を助ける。
<目標金額>
6,000,000円
※第一目標金額3,000,000円達成済みのためNEXT GORLに挑戦中
<リターン>
● 空飛ぶムササビウォッチングツアー
● ベアドッグのお散歩
● ベアドッグの繁殖小屋に招待
など
参考:人とクマとの共存のために働く犬「ベアドッグ」を未来へ繋げたい!|READYFOR
■ 白神山地の湧水×青森県のりんごで作る世界一のアップルブランデープロジェクト
りんごの名産地・青森県のりんご酒メーカーが挑戦する、りんご加工品で地域の産業を活性化させる取り組み。すでに発売が決定しているアップルブランデーは、世界遺産白神山地の湧水を仕込みに使用し、厳選した青森りんごを原料に作られた香り高い逸品。支援金は量産化のためのブランデー熟成樽の購入や世界各国のコンペへの参加費用などに使用される予定。
<目標金額>
5,000,000円
<リターン>
● ブランデー製造現場見学会+会食+お土産ブランデー1本
● 世界に1つのオリジナルシードル委託製造(400L/330ml×約1200本分)
● 「温泉の福家」入浴チケット20回券
など
参考:青森のシードル醸造所の挑戦!白神山地の湧水×りんごの香る樽熟成アップルブランデー|CAMPFIRE
■ 群馬サファリパークのバリアフリーリフト付きバス&エサやり体験バスツアー導入プロジェクト
群馬県富岡市にある「群馬サファリパーク」では、約100種、1,000頭羽の動物が野生に近い状態で飼育されている。施設内は8つのエリアに分かれており、エサやり体験ができるバスツアーはパーク内でも人気のアトラクションだ。現在はバリアフリー仕様の車体がないため、参加者が限られてしまっている現状。バリアフリーバスを導入し、体の不自由な方にも同じようにエサやり体験などを楽しんでもらいたいという目的のもと、クラウドファンディングに挑戦中だ。
<目標金額>
18,000,000円
<リターン>
● スマトラゾウの飼育体験ツアー
● 車中泊体験 夜のガイドツアー付
● 1日園長体験
など
参考:群馬サファリパーク|命を育む世界を守り継ぐ。新たな一歩にご支援を|READYFOR
“特別な体験” が魅力のクラウドファンディングを支援してみよう
支援してほしい人と支援したい人が気軽につながることができるクラウドファンディング。投資家だけでなく、一般の人が低資金から出資できるのも魅力だ。
バラエティに富んだ体験型リターンもクラファンの醍醐味なので、アクティビティ感覚で支援先を探してみるのもアリだろう。プロジェクトの応援をしながら、自身も “特別な体験” ができるのでおすすめだ。
※画像は全てイメージです。
※本記事の情報は全て2024年1月の執筆時のものです。クラウドファンディングプロジェクトの詳細は各サイトにてご確認ください。
文/黒岩ヨシコ
編集/inox.