日本最古の遊園地「浅草花やしき」の目の前に、つい立ち止まってしまいたくなるお店がオープンした。
全て無料で試食できるお店、『試食専門店 試食BARアサクサ』。
ネットで軽く調べてみたところ、日本全国の隠れた名品や多彩なグルメを“全て無料で試食できる”消費者体験型ストアらしい。
しかも、「誰でも気軽に」「買わなくてもOK!」「楽しく試食体験ができます」と紹介されている。
非常に心くすぐられる言葉達だが、喜び勇んで扉を開ける気にはならなかった(ごめんなさい)。なにかと物騒なご時世、おいしい話の先に何が待っているかわからない。「タダほど高いものはない」とおばあちゃんに言われたことも頭をよぎる。
ただ、キニナル。だから直撃取材を敢行した。
店内にある商品の中から好きなものを選び、「試食カード」をスタッフに渡すだけ
快く応対してくださったのは、店舗を運営する株式会社ジャポリスの代表取締役・小嶋建さん。「こちらこそよろしくお願いいたします」という最初の丁寧な一言だけで優しい人柄が伝わってきた。物腰の柔らかいその雰囲気に直前まで抱いていた不信感が申し訳なくなる。本当にすいません。
店内の広さは5坪ほどだろうか。こぢんまりとした空間にはあまり見たことのない商品が並んでいた。
――試食専門店て、なんですか?
「全国から集まったこだわりの商品を気軽にご試食いただけるお店になっています。もちろん、試食をして気に入った商品があればその場で購入することも可能です。試食メインの日本名産品ショップといったところでしょうか」
お店のシステムはこうだ。
店内にある商品の中から好きなものを選び、棚にある「試食カード」をスタッフに渡すだけで、すぐに試食サイズの商品が提供される。たったこれだけ。もちろん無料。
「無料で試食できる代わりに商品に関する簡単なアンケートにご回答いただきます。試食カードにはQRコードもあるのでご自宅にお持ち帰りいただいてネットで購入することも可能です」
基本的に試食できる商品の種類に制限はないとのこと(混雑状況により制限あり)。ただし、同じ商品の試食は1回まで。
せっかくなので筆者も試食体験させていただくことに。改めて店内を見回すと、なかなかお目にかかれない高級品もあるが、あまりに多すぎて選ぶのも一苦労。
――商品は何種類あるんですか?
「今は全部で40社のメーカーさんから出展いただき、1社3商品ぐらい提供していただいているので120種類の商品が揃っています」
「ネットや展示会で出会ったメーカーさんに声をかけて協力していただいています。特に『味には自信があるけどPRの仕方がわからない』というメーカーさんの力になれればいいなと思っています」
店頭に並ぶのは地方メーカーがほとんどだが、中には大手メーカーの商品も。
「たとえば、キッコーマンさんの商品もあるんですがスーパーで見かける馴染みのものではなく、高級路線の醤油を出展していただいています」
(亀甲萬本店限定醤油/キッコーマン食品株式会社 税込価格:1,080円)
高級な調味料からジャムやコーラ、ソーセージにお酒まで多彩な品揃えはどれも魅力的で片っ端から試食したいところだが、今回は人気商品と代表のオススメを3品教えていただいた。
【一番人気!ほぐし飯の素 信玄どり手羽元/割烹立よし株式会社 価格:1,080円(税込)】
「山梨のブランド鶏・信玄どりを使った、ほぐし飯の素です。直火で炙った香ばしさと鶏の旨味溢れる炊き込みご飯が味わえます」
――ほぐし飯もすぐに試食できるんですか?
「はい。すべての商品がすぐに試食できるよう準備しております。美味しい信玄どりの炊き込みご飯もご用意してあります」
それはすごい。注文されるかどうか分からないにもかかわらず、120種類のメニューが事前に用意されているという。
【ほぼ玉ねぎなドレッシング/株式会社M&Iメンテサービス 価格:645円(税込)】
「余分なものは加えず、ほぼ『淡路島玉ねぎ』で作られているのが特徴。甘味のある玉ねぎたっぷりの無添加ドレッシングは個人的にイチオシの商品です」
そしてもう一つだけ、@DIME読者に刺さるようなオススメをお願いした。それは1月現在、このお店で一番の高級品だ。
【時の鈴 20年/株式会社ネーブル・ジャパン 価格:11,000円(税込)】
「こちらは長期熟成の日本酒になります。明治元年創業の蔵元・新良酒造さんのお酒で、チョコレートと一緒に味わうと最高なんです」
そんな3品を早速試食させていただくことに。試食カードを渡してからわずか1~2分、初めて目にした“知られざる日本の美味”が運ばれてきた。
ほぐし飯は食べる前から鶏と出汁の香りが食欲を刺激する。試食ゆえ、少量なのは当然なのだが、一口味わっただけで購入必至の美味さ。一番人気というのも頷ける。
ドレッシングは玉ねぎの甘みと旨味が爆発的に広がる逸品。これだけで酒のアテになりそうなほど。
そして、最高級品の熟成日本酒。これが凄かった。まるで紹興酒のような深い味わいと独特な香りは初体験。
しかも、試食スペースがBARカウンターのようになっているので、下町の立ち飲み屋さんで鶏めしを肴に飲んでいる気分にもなる。
「浅草には飲み屋さんも多いので、その辺りも意識しました。試食ではないんですが、500円で日本酒の飲み比べメニューも用意しております。無料の商品をおつまみにして楽しんでもらってもOKです」
オープンから未だ1ヶ月ほどだが、週末には一日に200人ぐらいが来店。3割ぐらいの方が実際に購入していくという。