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もう"おもちゃ"じゃない!出荷数100万個の大ヒットを遂げた「BEYBLADE X」はなぜ大人を熱狂させるのか?

2024.01.17

2024年で25周年を迎える、ベイブレード。世界80以上の国と地域でも展開されており、累計の出荷数は5億2,000万個を超えている。そんな世界中で人気のあるベイブレードから2023年7月、第四世代となる新商品『BEYBLADE X(ベイブレード エックス)」が発売された。

今回は、『BEYBLADE X』の開発を担当した株式会社タカラトミー グローバルベイブレード事業部 マーケティング課 主任 髙坂遊太さんに、 商品誕生の裏側についてお話を伺った。

*本稿はVoicyで配信中の音声コンテンツ「DIMEヒット商品総研」から一部の内容を要約、抜粋したものです。全内容はVoicyから聴くことができます。

「超加速」で進化を遂げた新しいベイブレード

元々、日本の「ベーゴマ」を現代風にアレンジして開発されたベイブレード。プレイヤーが独自にコマをカスタマイズし、専用の発射装置(ランチャー)でコマを回し、バトルができる。新商品として発売された『BEYBLADE X』の特長について、髙坂さんは次のように話す。

「第四世代となる『BEYBLADE X』は、コマ本体、ランチャー、バトルが行われるスタジアムのすべてがそれぞれ進化しています。最大の特長は、『超加速Xダッシュ(エクストリームダッシュ)』ができるようになった点です。コマの軸先のギヤとスタジアムに取り付けられたギヤ同士が噛み合い、これまでにないスピードを実現しました」

Xダッシュ機能の追加により、歴代最速のアタックが実現。アニメのような、より激しいバトルが現実世界でも楽しめるようになった。

『BEYBLADE X』は、これまでのベイブレードの集大成

新商品の『BEYBLADE X』には、歴代ベイブレードのすべての要素が詰め込まれているという。

「『BEYBLADE X』は、歴代のすべての要素を詰めこんだうえ、新たにXダッシュ(エクストリームダッシュ)が加わり、昔遊んでいた人も初めて遊ぶ人も、子どもから大人まで楽しんでいただけるものに進化しました。例えば、初代『爆転シュート ベイブレード」からはカスタマイズ性や、カスタム同士の相性を判断して戦略を練る点が、第二世代『メタルファイト ベイブレード』からは、ベイブレード同士が当たる刃の部分が金属製の『メタルブレード』になっている点が、一つ前の第三世代『ベイブレードバースト』では、強い衝撃が当たると相手のベイを破壊する『バーストギミック』が、BEYBLADE Xにも引き継がれています。

歴代の要素を詰め込んだ一方、第四世代の商品名は『BEYBLADE X』と非常にシンプル。これまでのベイブレードにないスマートなネーミングは、スポーツをイメージしてもらえるよう意図して付けられた。

「ベイブレードは全世界で多くの人にプレイされており、かつ観る人も楽しめる点から、『エクストリームスポーツ』のような存在になっていると考えています。そこで、過激で(エクストリーム)、刺激的(エキサイティング)、規格外(エクストラ)なバトルを実現したシリーズという意味を込め、『X』と名付けました」

大人からの支持もヒットの要因に

『BEYBLADE X』 は、2023年7月15日の発売開始から約3か月で、国内累計出荷数100万個を突破。10万個でヒットと言われるおもちゃ業界では、異例の大ヒットだ。その背景には、子どもだけではなく大人からの支持があると髙坂さんは話す。

「購買比率は子ども7割、大人3割と幅広い年齢層の方に楽しんでいただいています。ベイブレードは初代の頃から、コマが高速回転して激しくぶつかり合う部分で人気を集めてきましたが、今回その激しさが増したことで、より大人の方にも響いたのかなと思います。初代のベイブレードで遊んでいた方に久々に手に取っていただいたり、親子二世代で楽しんでいただいたりもしていますね」

大人だからこそのベイブレードの楽しみ方について、次のように続ける。

「私自身、大人になってから、ベイブレードのカスタマイズ性をより追求するようになりました。今はアプリと連動することでシュートパワーなどが計測でき、シュートの仕方を変えて数値の変動を見るといった研究要素も楽しめています」

ベイブレード事業部では、会議に行き詰まった際のリフレッシュとして、ベイブレードのバトルを取り入れているという。バトル中は、一切の忖度なし。上司も、部下も関係ない。大人が本気で遊べるユニークな環境だからこそ、世代を超えて大人も熱狂できる商品が生まれているのかもしれない。

ベイブレードはもう「遊びじゃない」!

公式サイトには「ベイブレードはスポーツへ。」というキャッチコピーが記載されている。『BEYBLADE X』をスポーツとして訴求していることにはこんな意図がある。

「ベイブレードのバトルには、心理戦の要素、技術を磨く要素、ベイブレードをカスタマイズする要素など『心技体』のすべてが必要です。さらに、プレイヤーだけではなく、観客も魅了する点から、人と人との交流、コミュニケーションを促進するスポーツのような存在だと捉えています」

また、2024年に25周年を迎えるベイブレードブランドを、一つ上のレベルに持っていくためにも、「遊ぶための玩具」からの転換が必要だったという。

「ベイブレードは現在、年齢、性別、国籍などを超え、子どもから大人まですべての人に楽しんでいただいています。より多くの方に楽しんでもらうきっかけを作るためにも、今回は遊びではなく、スポーツというコンセプトにしました」

開発で一番苦労したのはコンセプト作り

2019年からスタートした『BEYBLADE X』の開発。当時の状況について、髙坂さんはこう振り返る。

「企画やコンセプトを考える部分に一番時間をかけましたね。すべての人を驚かせるギミックとは何か、コンセプトは何かということについて何度も議論を重ねました。ベイブレードの面白さの本質を突き詰めた結果、『コマ同士のぶつかり合い』にあるという結論に至りました。そこをより面白く、激しくしようと、今回の超加速ギミックの搭載が決まったんです」

今回の開発に携わったチームメンバーは、15~20名ほど。集まったメンバーは、初代から三代目までの各ベイブレードの開発やマーケティングに携わった方から、初めて携わる方まで、年齢も経歴もさまざまだったという。商品化の際の苦労について、髙坂さんは次のように続ける。

「コストを抑えて買いやすい価格帯にすることや、安全性などの制限がある中で、誰が見ても『これは速い!』『やってみたい!』となる超加速を実現するのには苦労しましたね」

開発時はディスカッションはもちろん、メンバー同士でベイブレードのバトルをしたり、動きを見せ合ったりと、自分たちで実際に手を動かしながら進められたという。

ベイブレードの競技スポーツとしての訴求

2023年10月のスポーツの日を含む3連休には、ベイブレードを体感できる施設『BEYBLADE X TRAINING CENTER(ベイブレード エックス トレーニングセンター)』が期間限定でオープンし、競技スポーツとしての魅力を発信した。

「ギアスポーツとしてのベイブレードを体験できるトレーニング施設です。ライトにワークアウトする感覚でベイブレードが楽しめ、子どもだけでなく大人も気軽に集まれる場になりました。施設内には、ベイブレードのレンタルスペースや、自由に対戦ができるスタジアムがあり、トレーナーからレクチャーを受けられるようにしたんです。スポーツ観戦に行くような感覚でベイブレードを楽しめるスペースとして、とても好評でしたね」

また、サッカーやバレーボールなど、幅広い年齢層が集まるスポーツイベントなどでもコラボイベントを開催し、スポーツとしての側面の訴求に注力しているという。

メタバースにも進出!オンラインならではのコンテンツを展開

さらにベイブレードは、世界で人気のメタバースプラットフォーム『Roblox(ロブロックス)』に、新コンテンツを展開している。

「今回Roblox上にオープンしたベイブレードパークでは、オンライン上でプレイできるベイブレードのゲームが公開されています。公式ゲームもありますが、クリエイターの皆さんと一緒に共創したゲームが、全部で16種類ほど用意されています。私自身、はじめはオンラインでのベイブレードは想像できませんでしたが、人間サイズのベイが攻撃してくるなど、ゲームだからこそできるベイブレードの新しい遊び方があると実感しています」

伝わりやすいコンセプト作りの重要性

最後に、髙坂さんは今回の開発を通して学んだことについて、次のように語ってくれた。

「『誰もが分かるようにコンセプトが伝えられているか』という点を常に意識するようになりました。社内でも『一言でこのベイブレードのコンセプトを言うと何?』と問われることが多くあります。子どもから大人まで、本当に幅広い方に楽しんでいただくものなので、一言で人に伝えられるレベルに自身の中でもコンセプトをしっかり落とし込めているかが重要だと気づきましたね」

(C)Homura Kawamoto, Hikaru Muno, Posuka Demizu, BBXProject, TV TOKYO
(C)TOMY

取材・文/久我裕紀、DIME編集部

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