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Nintendo Switch版は600万ダウンロード突破!ゲーム会社ではないAladdin Xが作った「スイカゲーム」が大ヒットした理由

2024.01.19

一過性のヒットで終わらせないために「スピード感」を重視

Nintendo Switch版をリリースした理由は、プロジェクターの本体内蔵コンテンツの枠を飛び出し、外部に話題になりうるコンテンツを置いておくことで、ゲームがいつか流行した際に、そのゲームをきっかけとして多くの人にAladdin Xブランドについて知ってもらいたいという想いがあったからだという。その取り組みが、予想を超えて空前絶後の大ブームに繋がった。

Aladdin X社は、偶発的なヒットを次へと加速させていくため、スピード感を重視していると銭さんは話す。

「ユーザーからいただくたくさんのお問い合わせに、スピーディーに対応することを大切にしています。たとえば『海外版を配信してほしい』などのご要望をいただいた数週間後には多言語に対応し、世界中のMy Nintendo Storeで購入できるようにしました。皆様からのご要望に、スピード感を持って進めることを第一に意識しています」(銭さん)

(C)︎ 2021 Aladdin X Inc.

トレンド作りに重要な役割を果たす、ゲーム配信者への対応もスピーディーさを大切にしているという。

「ゲーム配信をしてくださる皆様は、とても丁寧に配信許可の連絡をしてくださいます。それに対して、スピード感を持って許諾していくことを心がけていますね。一つひとつ悩んで許可を出すのではなく『幅広い方々にやっていただきたい』という方針で進められたのが良かったのではないかと感じています」(岡本さん)。

『スイカゲーム』専任チームがない中での空前の大ブーム

Aladdin X社の日本メンバーは15名ほどで、ましてや『スイカゲーム』専任のチームメンバーがいるわけではなかった。そんな中、ヒット当初はさまざまな対応に追われたと銭さんは振り返る。

「弊社の新製品『Aladdin Marca(アラジン マルカ)』が2023年10月の末に発売されました。新製品のローンチのタイミングと『スイカゲーム』のヒットが重なり、社内はかなり大変な状況でしたね」(銭さん)。

そんな慌ただしい状況の中でも、ユーザーからの要望に応え、海外版『スイカゲーム』のリリースにも対応した。Aladdin X社がスピード感を持って対応できた理由について、岡本さんは次のように振り返る。

「裁量権を持たせてもらえていることと、スピード感を落としてしまうことはリスクが大きいという思いが社内であり、『どんどん進めよう』という勢いがありましたね。海外版のローンチは、良くも悪くもゲーム性がシンプルなので、多言語対応も他のゲームと比べれば、やりやすかったと思います」(岡本さん)。

スマホ版アプリのリリースも迅速に対応

『スイカゲーム』のダウンロード数が増え、Aladdin X社には多くのユーザーからこんな声が届くようになったという。

「『スマホ版にしてくれた方がもっと遊びやすい』といった声を多くいただいており、リリース時期は未定ですが、計画を進めているところです(※取材当時、現在は配信中)」(銭さん)

「最近は、弊社とは関係のない非公式アプリが出てきており、お客様から『これは本当にAladdin X社のゲームですか?』といった声をいただくことが増えています。そうした状況からも、公式から一つアプリを出したいと考えていました」(岡本さん)

昨年の11月時点では計画中であったアプリ版だが、早くも2024年1月1日に iOS版 公式アプリがリリースされ、既に65万ダウンロードを突破し、非常に好調なようだ(2024年1月13日時点)。『スイカゲーム』を一過性で終わらせないための構想は、着実に形となっている。

ヒットを今後に生かすAladdin X社の戦略

最後に銭さんは、今回のヒットを振り返りながら、今後の展望について語ってくれた。

「『偶発的なヒットだった』ということを、我々も真摯に受け止めています。今回のヒットは、我々だけの力ではなく、きっかけを作ってくれた動画配信者の皆さまや、たくさん遊んでくださったユーザーの皆さまのおかげです。今後もお客様の要望に合わせて、愛されるコンテンツ作りにメンバー全員で取り組みたいと思っています」(銭さん)。

今後のさらなる発展のためには、「キャラクターの価値」が重要になると岡本さんは話す。

「ゲームを楽しんでいただける方を増やすため、さまざまなことに取り組んでいますが、どこかで限界がくると思っています。そこで、『ゲームのキャラクターとしての価値を次にどう繋げていくか』がポイントだと考えています。キャラクターのグッズ化などを通し、皆さんから広く・長く愛されるIPに育てていくことで、今後も幅広い展開が期待できるのではと思っています」(岡本さん)。

取材・文/久我裕紀

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