帝国データバンクは、2023年に発生した上場企業の倒産について調査と分析を実施。結果を倒産件数の推移グラフなどとともに発表した。
雇用調整助成金の不正受給が発覚。元会長と前社長が逮捕され信用が失墜
2023年の上場企業倒産(12月29日16時30分現在)は、(株)プロルート丸光(東証スタンダード、総合衣料卸売など)の1件。同社は92年3月期に年売上高約529億円を計上していたが、アパレル業界の不振やECシフト等で2019年3月期には100億円を下回る水準となり、コロナ禍では赤字額も拡大した。
そうしたなか、今年4月に雇用調整助成金の不正受給が発覚。10月には元会長と前社長が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで東京地検特捜部に逮捕されるなど急速に信用が収縮し、12月5日に大阪地裁へ会社更生法の適用を申請した。
負債は約27億300万円。コロナ禍(2020年)以降で4件目の上場企業倒産となった。
上場企業倒産は、リーマン・ショックが起きた2008年(33件)をピークに、その後はアベノミクス効果や事業再生ADRなど私的整理の拡充を背景に減少傾向が続いている。
そうしたなかで近年発生している上場企業倒産は、2020年に金融商品取引法違反の嫌疑で証券取引等監視委員会による強制調査が入った(株)Nuts(ジャスダック、2020年9月破産)、2022年にインサイダー取引や金融商品取引法違反で関係者が逮捕されたテラ(株)(東証スタンダード、2022年8月破産)、そして今年の(株)プロルート丸光と、不祥事が引き金になっている。
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構成/清水眞希