人口減少や超低金利の長期化による収益環境の悪化など、金融機関は厳しい経営環境が続くなか、地方銀行を中心に再編の動きが活発化している。23年6月には、地方銀行でトップクラスの規模を有する横浜銀行が神奈川銀行を完全子会社化し、首都圏で初の「1県1行」体制へと移行した。
コロナ禍で疲弊した中小企業への対応が、資金繰り支援から再編・再生へと軸足が移りつつあるなかで、地域金融機関に求められる役割は経営の様々な場面で増している。
そんな中、帝国データバンクでは2023年10月末時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録、特殊法人・個人事業主含む)をもとに、企業が「メインバンク」と認識する金融機関を分析した。
一企業に複数のメインがあるケースでは、各企業が最上位として認識している金融機関をメインバンクとしている。同調査は2022年12月に続き通算15回目。
全国金融機関ランキング2023〜シェアトップは三菱UFJ、メイン社数増の最多は福岡銀行
全国メインバンクシェア動向
2023年の全国メインバンク社数トップは「三菱UFJ銀行」となった。企業数は9万4513社となり、2009年の調査開始以降15年連続のトップとなった。
しかし、全国シェアでは6.44%と前年から0.09ポイント(pt)低下・社数で1205社減少し、14年連続のシェア縮小となったほか、低下幅は22年に続き全金融機関で最大となった。
2位は「三井住友銀行」の7万6158社(シェア5.19%)で、前年からシェアで0.06pt低下、社数で722社減少した。3位の「みずほ銀行」も、シェアで0.06pt、社数で740社減少した。この結果、メガバンク(都市銀行)上位3行のメイン社数は22年比で2667社・シェアにして計0.21ptの低下となり、引き続きシェアの低下傾向が続いた。
一方、「りそな銀行」(3万931社、同2.11%)、「埼玉りそな銀行」(1万7636社、同1.20%)は、ともに社数で増加した。
地方・第二地方銀行では、「北洋銀行」(2万3728社)が最多だった。次いで「福岡銀行」(2万2444社)、「千葉銀行」(2万1462社)、「西日本シティ銀行」(2万985社)と続く。なかでも「福岡銀行」は、前年から増加したメイン社数が、経営統合や合併などによる増加分を除く全金融機関の中でトップ(348社増)だった。
信用金庫・信用組合では、「京都中央信金」(8214社)が最多だった。「多摩信金」(7520社)は京都中央信金に次いで全国2番目に多かった。
前年からの増加社数では308社増と最も多く、金融機関全体でも福岡銀行に次ぐ2番目の多さだった。上位60行庫でも300社を超える増加幅となったのは、福岡銀行と多摩信金の2行庫のみだった。