業態別〜信用金庫が5年連続でシェア拡大、背景にゼロゼロ融資で「接点増」
業態別シェア推移(2019-23年)
業態別にみると、シェアが最も高いのは「地方銀行」で40.52%だった。全業態のなかでは唯一4年連続でシェア4割を超えたものの、2016~22年にかけて続いたシェア拡大の動きは8年ぶりにストップした。
全国で3メガを含む「都市銀行(メガバンク)」のシェアは19.11%で、前年を0.19pt下回り過去最低を更新した。「第二地方銀行」「信用組合」など上位3業態も、それぞれ前年からシェアが低下した。
実店舗を持たず、インターネットバンキングなどオンラインでの金融事業を主力事業とする「ネット銀行(新形態の銀行)」の躍進も目立った。
他業態に比べ大幅なシェア拡大が続くネット銀行のシェアは、2023年で0.20%(前年比+0.03pt)、社数で約3000社規模に達した。10年前から社数で約6倍、シェアで約5倍に拡大している。
楽天銀行のほかPayPay銀行、住信SBIネット銀行など、メイン社数の増加が100社を超えるネット銀大手3行を中心に全体のシェアを押し上げている。決済手数料や基本利用料の低さを背景に、ネット銀行の口座開設・切り替えを進める企業の増加が目立つ。
2013年のメインバンク「信用金庫」流入元の金融業態(19年比)
地域の中小企業を主な融資先とする信用金庫のシェアが大幅に拡大している。「信用金庫」(シェア23.59%)は5年連続でシェアが拡大したほか、拡大幅は0.12ptと全業態中最大となり、過去5年で最も大きかった。
背景には、実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」の貸し出し等で、中小企業との接点が増えたことも大きいとみられる。コロナ禍前の2019年から23年の間にメインバンクを「信用金庫」に変更した企業1万3600社が、どの金融業態から「流入」したかを分析した結果、最も多いのは「地方銀行」で6126社(45.04%)となり、「メガバンク」(34.46%)、「第二地銀」(13.81%)が続いた。
特に、経営規模の大きい金融機関から地場の信用金庫にメインバンクを変更したケースも多く、地域の中小企業に密着した融資や経営問題の解決を得意とする信用金庫の存在感が高まっている。