調査結果のまとめと考察
ALL DIFFERENT株式会社
組織開発コンサルティング本部 シニアマネジャー・開発室 室⾧
CLM(最高育成責任者) 根本博之氏
■まとめ
今回の調査結果は、社会人2~4年目までの全年次で共通して『知識・スキルへの不安』が最大の壁となり、昨年度の調査結果とは異なる今年の特徴となりました。
外部環境の変化が激しい昨今、上司や先輩が通ってきた従来のやり方をマニュアルどおりに遂行するだけでは成果や結果を残すことが難しく、自立自走人材や早期リーダーの育成に取り組む企業も増えています。
そんな中、多くの現場で若手社員に主体性と実践力が求められており、知識やスキルを習得することが喫緊の課題であると、若手社員も実感しているのかもしれません。
最大の壁となった『知識・スキルへの不安』の乗り越え方では、全体傾向として、壁を乗り越えるようとすることで「良い点・改善点」や「他の状況にも活かせる気付き」を発見し、前向きに捉えるケースが多いことがわかりました。
乗り越えることができた要因では、社会人2年目では「ポジティブに捉える姿勢」や「目的や仕事の意味の再考」など、意識面に関する回答の割合が高くなりました。
一方、社会人3年目4年目では「知識の習得」「スキルの習得」「経験を積む」など、実務面に関する回答の割合が高くなりました。この結果から、年次が上がるにつれ、意識だけでは乗り越えられない難易度の高い壁に直面する場面が増え、解決には「知識・スキルを習得する必要がある」という事を、本人達も自覚していることが見てとれるのではないでしょうか。
本調査結果より、若手と一括りにされる事の多い社会人2年目~4年目社員ですが、同じ「知識・スキルへの不安」という壁でも、乗り越えるために必要とするサポートが異なる事が明らかになりました。
■考察
本調査結果は、社会人2年目と3・4年目の社員が「知識・スキルへの不安」を乗り越えるためには、異なるアプローチが必要であることを示しています。
2年目社員は「ポジティブに捉える姿勢」で壁を乗り越える傾向があります。これを支援実現するためには、上司や周囲からの仕事の目的・意義の伝達、ポジティブフィードバック、適切な内省支援、前向きな組織風土の醸成が必要です。
また、仕事の捉え方や向き合い方は社会人歴が浅ければ浅いほど、良くも悪くも影響を受けやすい傾向がありますので、早め早めのアプローチを推奨いたします。
一方、3・4年目社員は「知識・スキルの習得」で不安を乗り越える傾向があります。知識・スキルの習得に向けては、適時適切な習得テーマの設定、正しい順序と方法での支援や仕組みが必要です。例えば、上司や先輩によるマイクロOJT、学びの場の提供、解像度の高い基準を高めるフィードバック、上司や先輩自身の成長が解決策になり得ます。
このように、社員の成長には適時性と多面的なアプローチが求められます。本人の努力と成長、上司の支援、周囲の協力、育成に向けた組織風土の構築を相互に作用させることで、若手社員の活躍と定着に寄与するでしょう。
調査概要
調査対象者/22~34 歳の社会人 2 年目~4 年目の就労者
調査時期/2023年8月2日~8月7日
調査方法/調査会社によるインターネット調査
サンプル数/900人(社会人2年目300人、3年目300人、4年目300人)
関連情報
https://www.all-different.co.jp/download/all/news_20240110.pdf
構成/清水眞希