■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
せっかくキャンプ場に来ているのにテントや車内に引きこもるのはもったいない。ぽかぽか陽気を受けながら焚き火を前に、ほっと一息つくのは寒い季節ならではのお楽しみだ。
ところが天気予報に反して風が強まると焚き火ができず、外でのんびり過ごすなんてことは無理。テントや車内で過ごすしかないのだが、ここで問題なのは狭い空間では火器を使えないこと。寒さは寝袋やブランケットでカバーできても、調理に関しては屋外で行うほかない。
条件を守ればテント内で利用できる灯油ストーブがあるけれど、小型のテントや車内ではその条件に当てはまらない。どうすれば、焚き火を楽しめない日でも無理なく過ごせるのか?
答えのひとつとされているのが調理家電だ。
電気ケトルや卓上IHクッキングヒーターあたりが定番アイテムだが、それに加えたいと話題となっているのが小型ノンフライヤー「COSORI LITE 2L」。
キャンプ場のAC電源サイト、給電システムを搭載したハイブリッド車、そして防災目的で注目されている容量1000Wh程度のポータブル電源など、アウトドアであっても電気を確保する手段はいくつかある。
ただし使える家電が限定されるので定格消費電力1000W以下の製品を選ぶ必要があり、「COSORI LITE 2L」は定格消費電力900W。
予熱に時間がかかるけれど、日常使いで無理がなくアウトドアでも扱いやすい設計だとバンライファーを中心に注目されているのだ。
卓上IHクッキングヒーターがあればいいようにも思えるが、なぜ「COSORI LITE 2L」が話題なのか? サンプルを取り寄せてキャンプと自宅で使ってみた。
手抜きでも本格料理っぽくなる
ノンフライヤーは油を使わず上部のヒーターから熱風を循環させて加熱する仕組みで、フライはもちろん冷凍食品やオーブンを使える料理に対応する。
「COSORI LITE 2L」は容量2L。
ファミリー利用なら容量3.5L以上ほしいところで、容量2Lなら1~2人のごはんやつまみ向きだ。
「COSORI LITE 2L」の温度設定は75~205℃。
肉の中心温が75℃で1分間以上加熱できれば食中毒菌を殺菌できると言われており、ローストチキンやローストビーフも低温でしっとりおいしく焼き上げられる。
ただし、時間がかかるので電源にさほど余裕がないアウトドアというよりは自宅向き。野外でチキンやビーフをローストするなら、焚き火とダッチオーブンでじっくり取り組むほうが効率いい。
また、「フライ」のほかに「ロースト」や「ベイク」、「温め直し」をワンタッチで設定できる1台4役がウリだが、「温め直し」といってもレンジのように冷たいごはんをふっくら温め直すことはできない。
熱風により乾燥するしラップの使用は不可なので、焼きおにぎり熱々スープと組み合わせてリゾットにするなど少し工夫が必要だ。
冬のおこもりキャンプで活用するなら、あらかじめソースに漬け込んでおいた食材を持っていき、現地で15~20分ほどローストするといった使い方だろう。
ためしに魚をローストしたところ、温風のおかげで皮目がパリッと焼き上がった。煙が出ず匂いも控えめだ。コンパクトとはいえ一度に野菜と魚を焼けたのはうれしい。
食パンを2枚重ね、中に残り物の惣菜ポテトサラダを詰めた簡易グラタン。これもランチ
コンパクトなノンフライヤーはバスケットが丸形のものが多いけれど、「COSORI LITE 2L」は角型。食パンがちょうど入る大きさなので「ベイク」すればサクサクのトーストが焼き上がる。
中が見えないので3~4分で様子を見ながら好みの焼き色を目指すことになる。
そしてもっとも実用的かつ感動するのが惣菜の温め直し。
電子レンジでの温め直しとは違い、コロッケはフライがザクザク音を立て、中は熱トロ。テントや車内で熱々の揚げ物を食べられるのは感激だ。しかも周囲が汚れることもない。
コロッケと春巻きのあとに落ちた油。ペーパーで拭き取るだけできれいになる。食洗機対応なのもありがたい
余分な油が落ちて、罪悪感が少しだけなくなるのもイイ。
もちろんイチからフライを作ることもできるので、釣りたてのワカサギをフライにするなんてことも楽しそう。
パン粉のほかに小麦粉や卵が必要だが、アウトドアではマヨネーズを薄く塗ってからパン粉をつけたり、卵も小麦粉も不要のパン粉を使ったりすれば洗い物を低減できる。最後にスプレーで油を表面に吹き付ければ準備完了。
大量の揚げ油も必要ないので「油の処理が大変だから揚げ物を控えている」という人も安心だし、周囲を汚すこともない。
COSORIのキャッチフレーズ〝毎日をフライデーに〟ではないが、もっと気軽に揚げ物をする気になる。