会社の責任
――上司Dの抱きつきがあった後、上司C以外の上司にも相談したんですか?
Xさん
「はい。上司Fに『上司Dの抱きつきが不快だった』と相談したのですが……。私の気持ちは理解してくれたものの『自身で対処する必要がある』と言われただけでした」
――裁判所さん、このスルーはあきませんよね?
裁判所
「あきませんね。会社は事実関係を調査した上でそれに基づく関係者の処分や異動といった具体的な措置の要否を検討する必要がありました。そのような検討すらしていないことは、雇用契約上の付随義務(使用者が就業環境に関して労働者からの相談に応じて適切に対応すべき義務)に違反しております(債務不履行)」
――慰謝料はいかほどで?
裁判所
「会社はXさんに15万円払いなさい」
ほかの裁判例
■ カラオケ顔面接近セクハラ
酒が入って歌うと、セクハラ勃発の可能性が高まりますよね。
顔面接近セクハラはコチラ
■ 1500万円超えの損害賠償
今回は慰謝料40万円程度で済みましたが、セクパワ上司(セクハラ&パワハラ)は要注意ですよ。1500万円超えを命じられた裁判例もあります。
部下がうつ病にかかり、うつ病の原因はセクパワだと認定されれば、うつ病が治るまでの給料支払いを命じられるおそれがあります。
さいごに
セクパワを受けている方は、とにかく録音しましょう。そして会社にも相談しておきましょう。会社が相談をスルーすれば会社にも損害賠償請求できる可能性があります。
今回は以上です。「こんな解説してほしいな~」があれば下記URLからポストしてください。また次の記事でお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。コンテンツ作成が専門の弁護士です。
webメディアで皆様に知恵をお届け中。「こんなこと解説してくれや!」があれば、下記URLからポストお願いします。
https://hayashi-jurist.jp(←プロフィールもコチラ)
https://twitter.com/hayashitakamas1