2. 新NISAと税金に関する注意点(2)|外国税額控除を受けられない
NISA口座が非課税であることに伴うもう一つのデメリットが、「外国税額控除を受けられない」点です。
外国税額控除は、外国株式の配当を受け取った場合などに受けられます。
外国株式の配当には、日本での課税とは別に現地での課税も行われることがあります。たとえば米国株式の配当には、現地で10%の源泉徴収が行われることになっています。
この場合、現地と日本で二重課税が生じることになりますが、確定申告をして外国税額控除を受ければ、現地で課税された金額の全部または一部を取り戻すことができます。
NISA口座で保有している外国株式についても、現地での課税は行われます。その一方で、日本の税金は非課税です。
この場合、現地でしか課税されないために二重課税に該当せず、外国税額控除は受けられないことになっています。
外国株式について外国税額控除を受けたい場合は、NISA口座ではなく通常の口座(特定口座または一般口座)で購入しましょう。
3. 新NISAと税金に関する注意点(3)|外貨決済の場合は為替差益に課税される
外国株式や外貨建ての投資信託は、日本円で売買すること(=円貨決済)もできますが、米ドルなどの外国通貨で売買すること(=外貨決済)もできます。
円貨決済の際にかかる為替手数料は高いことが多いため、手数料を抑える目的で外貨決済を行っている方も少なくありません。
NISA口座で保有する外国株式などについても、外貨決済による売買が可能です。
ただし外貨決済を行う際には、外国通貨を保有している期間が発生します。為替レートは常に変動しているので、この期間中に為替差益が生じることがあります。
NISA口座における株式などの保有中の利益は非課税ですが、外国通貨を保有している期間の為替差益については非課税の対象外であり、雑所得として総合課税される点に注意が必要です。
4. まとめ
「NISAは非課税」であるものの、非課税であるが故のデメリットが存在することや、為替差益に課税され得ることなどには注意しなければなりません。
新NISAを利用して投資に取り組む方は、税金に関する取り扱いについても理解を深めておくことをおすすめします。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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