2024年から始まった新NISAでは、年間360万円まで、通算1,800万円までの金融商品を非課税で保有できるのが大きな特徴です。
しかしその一方で、NISA口座を通じた投資であっても、通常の投資よりも課税上不利になってしまう場合や、部分的に税金が発生する場合もあるので注意が必要です。
本記事では、新NISAと税金に関する注意点を解説します。すでに新NISAを通じた投資に取り組んでいる方や、これから新NISAを利用しようと考えている方は参考にしてください。
1. 新NISAと税金に関する注意点(1)|損益通算ができない
新NISAは「非課税」が最大のメリットですが、非課税であることに伴うデメリットも存在します。その一つが「損益通算ができない」点です。
損益通算とは、課税対象となる所得額を計算するに当たり、利益と損失を通算することをいいます。通常の株式や投資信託に投資する際には、所得税の確定申告を行う際に損益通算が認められています。
<例1>
・A社株式を売却して50万円の利益が出た
・B社株式を売却して30万円の損失が出た
→損益通算によって、所得は20万円(=50万円-30万円)となります。
ところが、NISA口座で保有している金融商品を売却して出た損失については、他の所得との損益通算が認められていません。
<例2>
・特定口座(通常の口座)で保有するA社株式を売却して50万円の利益が出た
・NISA口座で保有するB社株式を売却して30万円の損失が出た
→損益通算ができないため、所得は50万円となります。
例1と例2を比較すると、損益通算ができない分、例2の方が例1よりも所得が多くなっており、その分税金も高くなります。
このように、NISA口座内で損失が生じた場合には、損益通算ができないことにより、通常の投資よりも不利になることがあるので注意が必要です。