グローバルサウス注目国 ベトナム
グローバルサウスのなかでベトナムも注目国のひとつです。
ベトナム経済は年々経済成長を続けており、国際通貨基金(IMF)の2022年の購買力平価(PPPベース)のGDPは1兆3200億ドルに達しています。
購買力平価とは、異なる国の通貨で同じ商品が同じ価格で購入できる状態を指し、ベトナムが世界25位、東南アジアでは第3位の経済規模を有していることが明らかになりました。
東南アジアにおけるPPPベースのGDPが大きい国々では、現在の1位がインドネシア(4兆0370億ドル)、2位がタイ(1兆4820億ドル)であるなか、ベトナムは2026年にはタイを抜き、東南アジアにおいて2位に浮上すると予測されています。
さらに、2028年にはオーストラリアやポーランドを抜いて、世界ランキングでも20位に達する可能性が示唆されています。
この成長予測は、ベトナム経済が今後も着実に拡大し、国際社会における存在感が一段と高まることを示しています。
GAFAMなどのシリコンバレー企業が恩恵を受ける
グローバルサウスの成長には、GAFAMやシリコンバレーにあるテクノロジー企業が大きな影響を与えています。これらの企業は、新興国や途上国におけるデジタル化とテクノロジーの普及を促進し、インフラやデジタルサービスの提供を通じて市場を拡大しています。
特に、スマートフォンやインターネットの普及により、これらの企業のプロダクトやサービスがグローバルサウスの若者層に広く浸透しています。
たとえばGAFAMなどの企業は、クラウドコンピューティング、人工知能、デジタル決済などの分野でグローバルサウスの事業展開に積極的に取り組んでおり、これによって現地の経済やビジネス環境を変革しています。
今後、グローバルサウスに住む若者がこうしたテック企業の現地法人や米国本社にリモートで働く機会が増えるはずです。
つまり、グローバルサウスが発展することで、米国のテクノロジー企業は世界中の才能を雇用する機会にめぐまれ、今後、さらなる恩恵を受けることが予想されます。
グローバルサウスへの投資
グローバルサウスへの投資は多くの可能性に満ちていますが、これらの国々の経済規模が小さいため、日本の証券会社から個別株に投資する機会が少なく、投資先が限られています。
そのため、ETFや投資信託を利用して、国やセクターにまるごと投資する方法が一般的です。
そのなかでもSBIアセットマネジメントの「EXE-i グローバルサウス株式ファンド」は、約30カ国に投資できるだけでなく、実質的な信託報酬が低く、申込手数料がゼロという特徴があります。これは分散投資という観点から考えても、魅力的な選択肢のひとつといえるでしょう。
そのほかにグローバルサウスの国別ETFを購入する方法がありますが、リスクヘッジという観点から考えると、ポートフォリオの組み入れ構成は十分に検討する必要があるでしょう。
おわりに グローバルサウスの経済展望
グローバルサウスは、人口増加とGAFAMなどの積極的な参入により、今後も持続的な経済成長を遂げることが期待されます。
また次世代を担う若い人材の活躍によって、グローバルサウス発の新たな産業やビジネスが生まれることが期待されます。
こうした新たな潮流を考えることが、投資家として重要な視点だと筆者は考えます。
文/鈴木林太郎