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「取り急ぎお礼まで」が使える場面・相手
『取り急ぎお礼まで』は、お礼が必要な場面において役立つフレーズです。シンプルで使いやすいため、つい多用してしまいがちですが、使える場面と相手が限られています。
■【場面】一刻でも早くお礼をしたい時
取り急ぎお礼までは、『取りあえず、急いでお礼をします』という意味です。『内容がまとまっておらず、誤字脱字もあるかもしれないが、許してもらいたい』というニュアンスを含んでおり、相手にできるだけ早くお礼を伝えたい場合に使います。
本来、相手にお礼をする場合は、十分な言葉を尽くすべきです。取り急ぎお礼までを定型句のように使うことは、相手に対して失礼に当たるという点を覚えておきましょう。メールや手紙の文章を締めくくる結びのあいさつに用いる表現であり、対面や電話においては使いません。
■【相手】自分と親しい間柄
使える相手は、自分と親しい間柄の人です。ビジネスシーンでは、同僚や後輩、取引先の親しい担当者などに限られるでしょう。
一般的に、目上の人や顧客に対して用いるのはあまりふさわしくない表現です。その理由として、『取り急ぎ』という言葉が使われている点と、文末が省略されている点が挙げられます。
取り急ぎは、「お礼をする時間が取れません」と自分の忙しさを強調しているようにも聞こえるため、人によっては不快感を覚えます。さらに、文末が省略されていることから、粗雑な印象を与えかねません。目上の人には、丁寧な敬語表現を使うのが望ましいでしょう。
■「取り急ぎお礼まで」を使った例文
取り急ぎお礼までは、すぐにでもお礼をしなければならない場面で使います。敬語表現が重視されるビジネスシーンにおいては、使う相手と場面をしっかり見極めなければなりません。具体的な例文をチェックしましょう。
【例文】
- 本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。鈴木さんのアドバイスのおかげで、プレゼンがスムーズに進みました。取り急ぎお礼まで
- 先ほどは駅まで送ってくださりありがとうございました。おかげでアポの時間に間に合いました。取り急ぎお礼まで
「取り急ぎお礼まで」は使い方に注意!
取り急ぎお礼までは、使い方に注意する必要があります。意味を知っていても、使い方を間違えると相手に違和感を与えたり、マナーがなっていないと思われたりする恐れがあります。英語圏の人には、日本語独特の言い回しが通用しない可能性がある点も考慮しましょう。
■メールや手紙の内容は簡潔にまとめる
取り急ぎという言葉を使うからには、メールや手紙の内容は簡潔にまとめる必要があります。内容はお礼のみにとどめ、他の連絡事項や近況などは記載しないようにしましょう。
内容が長文になるのであれば、取り急ぎお礼までは使うべきではありません。習慣的に使用していると、本当に急を要する場面で使えなくなってしまいます。
また、「本来は十分に言葉を尽くすべきところ、時間がないので急いでお礼を伝えます」の意味があるため、後日改めてお礼の連絡をするのが望ましいでしょう。
■目上の人には丁寧な敬語表現を使う
取り急ぎお礼までは、敬語表現ではありません。目上の人に使えるかどうかについては、さまざまな意見があります。
丁寧な礼状でもよく目にするため、使用しても問題ないと考える人もいれば、文末が省略されている表現は使うべきではないと考える人もいます。感じ方は人それぞれのため、ビジネスシーンでは以下のような敬語表現を使うのが賢明でしょう。
- 略儀ながら、メールにてお礼申し上げます
- まずはお礼申し上げます
- 本日はお礼のみで失礼いたします
『略儀』とは、正式な手続きを簡略化したものを指します。『略儀ながら』は、正式な手続きを省略した方法ではありますがという意味です。
■英語ではニュアンスが伝わらない可能性も
取り急ぎお礼までは、英語でどう表現するのでしょうか?伝え方はいくつかありますが、代表的なものを紹介します。
- Let this brief note be an expression of my thanks.
- This is a quick note to thank you.
英語の表現自体はありますが、そもそも英語圏では取り急ぎお礼までという言い方を用いるケースは少ないようです。
「形式的なことは省略して、急いで用件を伝えます」や「内容がまとまっていないかもしれませんがお許しください」といった細かいニュアンスは伝わらない可能性があるでしょう。英語圏の人とコミュニケーションを取る際には、「Thank you very much」とストレートに感謝の言葉を伝えて構いません。
「取り急ぎお礼まで」の言い換え表現
ビジネスシーンに最適な表現とはいえないものの、言い方を少し工夫するだけで丁寧さが増します。言い換え表現をチェックしましょう。
■まずはお礼まで
『まずはお礼まで』は、取り急ぎを別の言葉に言い換えただけの表現です。『まず』には、最初に・取りあえず・ともかくという意味があります。取り急ぎに比べると、急いでいるニュアンスが和らぎ、粗雑な印象も薄くなるでしょう。
【例文】
- 先日は、異業種交流会に誘っていただきありがとうございました。おかげで多くの気付きと人脈が得られました。まずはお礼まで
- 資料とサンプル商品を確かに頂戴致しました。まずはお礼まで
■まずはお礼かたがたご連絡まで
『まずはお礼かたがたご連絡まで』の『かたがた』とは、二つの動作を兼ねて行うことを表します。『~のついでに』『~がてら』『~を兼ねて』といった意味があり、お礼かたがたご連絡までは、お礼を兼ねて連絡をするという意味です。
『メール(手紙)にて恐縮ですが』などのクッション言葉を添えると、相手は配慮を感じるでしょう。
【例文】
- 操作についてのアドバイスをいただきありがとうございました。現在は正常に稼働しております。まずはお礼かたがたご連絡まで
- 昨日の新商品体験会は、入場者が100人を超える大盛況でした。メールにて恐縮ですが、まずはお礼かたがたご連絡まで
構成/編集部