DIME MAGAZINE
新NISAは誰もが「始めるべき」なのか？
福島 2024年から新NISAが始まるわけですが、23年6月末時点のNISA口座は1290万口座で、半年で100万口座以上増えています（日本証券業協会調べ）。単純計算で日本人の10人に1人がNISA口座を持っていることになって、今もさらに増えているので、近い将来、倍の2600万口座には達するでしょうね。ただ、これでもまだ日本国民の20％。米国では金融資産の50％以上を投資に回して運用しているといわれているので、まだ上がる可能性もあります。
テスタ 今の日本は「円安」「物価高」という経済環境ですから、資産をすべて円の通貨だけで持っておくことが正解なのかというと、決してそうではありません。ドルや金、不動産など様々な商品や資産に振り分けたほうが資産減少のリスクを下げることになります。預貯金が正義とされてきた時代はもうとっくに終わっています。これから投資は「やるのが当たり前」「やらざるを得ない」となっていくと思います。24年から始まる新NISAはそのきっかけのひとつになると思うんです。
福島 新NISAの成長投資枠では個別株も買えるので、新NISAをきっかけに個別株に興味を持つ人が出てくることも期待されますね。
テスタ 実際に始めた人が友人や会社の同僚とかに実体験をもって伝えるほうが広がり方としては早いと思うから、これからもっと拡散していくでしょうね。これは一時的な流行ではなく、長い期間を経て浸透していくものなので、これから「貯蓄から投資」はますます進んでいき、新NISAはその入り口になるでしょう。利用者がどんどん増えている状況は、サービスを提供する側も最も力を入れやすいですからね。そうなると、どんどん使いやすくなったり、便利な商品が出たりして間違いなく日本市場にとって追い風になると思います。
福島 具体的にはどんなサービスができると思いますか？
テスタ 例えばスポンサーが付いて、地上波で初心者のための投資番組が始まるかもしれません。池上彰さんが説明してくれたら初心者の人はやっぱりわかりやすいですし、説得力もありますから。
新NISAでは「高配当株」に注目
福島 新NISAへの期待が高まる中、2023年の日経平均株価は強かったですね。23年の実質GDP成長率は1.7％で、24年は1.1％と見込まれています。ただし、2024年のリスクとして押さえておかなければいけないのは、米国の利下げと、日本の金利上昇ですね。日本の金融緩和が正常化して金利が上昇し、日米金利差が縮まれば円高に向かう可能性があります。テスタさんは、新NISAが始まるとどのような銘柄に注目が集まると思いますか？
テスタ 新NISAでは高配当銘柄が狙われやすいと思いますね。「PBR1倍割れ問題」も出ていますし、平均利回りは下がっているので、実はもう割安株が買われ始めています。これからPBR1倍割れの会社がちゃんと配当を出して買われるという好循環になれば、株価も長く自然と上がっていくと思います。
福島 当社の一般NISA口座で1～9月に買われた日本株買付ランキングを見ると、NTT（9432）が1位だったんです。やっぱり株主のために利益を還元している企業は、NISAでもすごい人気がありますね。
日本の株式市場に過去最大級の追い風
テスタ いつもは翌年の予想はしないのですが、悪材料しかなかった1年前、それでも日経平均は下がらなかったんですね。ここから先はPBR1倍割れ問題の是正などの好材料があるんだから、「もう上がるしかないよね」って去年初めて思ったんです。
そういう点では○○ショックのような予期せぬ有事が起きない限りは今後も引き続き強いイメージを持っていて、今の時点で日経平均は高値付近にいるわけですから、20年近く株式投資をやってきて、かつてないほどの追い風を感じます。今から新NISAや投資に注目したり始めるのは大きなチャンスだと思いますね。
福島 懸念は、米国と中国の景気と、日米金利差の縮小ですね。ただ、米国はこれだけ利上げしても景気も株価も依然強いですし、不動産市況が足を引っ張る中国も国策として景気テコ入れをしていますから、24年も安泰に推移する可能性があると見ています。
テスタ 2024年は新NISAが始まったらきっと上がるから、2023年の市場はそれを織り込んで強いのかなとも思います。
ただ、NISAは基本的に長期で毎年積み立てていく人が多いから、そんなに売りも出ないとも思うんですよね。だから、やっぱり追い風であるという目線で投資していこうと思っています。
テスタさん、福島さんが注目！
「高配当株」にはどんなメリットがある？
長期投資が前提のNISAでは、NTTやJT、三菱UFJフィナンシャル・グループなどの高配当株が人気。減配や値下がりリスクの小ささが魅力だ。中でも20年以上増配しているKDDI（9433）や三菱HCキャピタル（8593）などは「連続増配株」と言われる。
一般NISA口座の「日本株人気ランキング」
※マネックス証券顧客データ（2023年1〜9月）より。
取引人数ベースの日本株買付数をランキング化した。
取材・文／向井翔太
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