コストコのホットドッグの秘密
コストコのホットドッグはマーケティング上、重要なポジションを占めています。
ちなみに米国でコストコのホットドッグは1.5ドル(約162円)で提供されています。
驚くべきことに、このホットドッグの価格は30年以上も変わっていません。
では、なぜこのホットドッグに注目なのかというと、非常にリーズナブルな価格で提供されており、これが多くのユーザーにとってコストコの会員になる理由の一つといわれているからです。
また既に会員になっている方にとっても、このホットドッグが会員資格を継続する要因となっています。
このように、コストコは会員を取り囲んでサービスを提供する、いわば囲い込み型のビジネスモデルを採用しているのです。
コストコの強さは会員によって支えられている
コストコの商品原価は、商品売上に対して約90%前後で一貫しています。これに対して、ウォルマートの商品原価は約76%であり、この数値がいかに驚異的であるのか分かると思います。
そして、この優位性を支えているのは、メンバーシップ(会費)収入があるからです。
コストコのビジネスモデルは、まず「会員制倉庫」で驚異的な価格を提供し、しっかりとした会員基盤を築くことから始まります。商品販売は概ね均衡で回しながら、会費収入をキャッシュフローとして蓄積します。
そこから得たキャッシュフローは、新しい倉庫店の出店などに再投資しているのです。
また会員のなかでも「エグゼクティブ会員」と呼ばれる最上位の会員資格に注目です。
有料メンバーシップのうち45%(3000万人)がエグゼクティブ会員であり、その売上全体に占める割合は73%以上にも達します。
ちなみにエグゼクティブ会員になるには、日本では年会費が9,900円(税込)かかります。
最大の特典は購入金額の2%(上限10万円)が還元されることです。
さらに限定クーポンなどの特典も提供されます。
なお、米国・カナダでのメンバーシップの更新率は92.6%であり、これは消費者向けの事業としては非常に優れた水準といえるでしょう。
コストコの株価推移と長期投資向きの理由
コストコは売上高の成長とともに株価も順調に上昇しています。
過去5年(2019年9月ー23年9月)の売上高推移をみていくと、
2019年9月通期の約1527億ドルから、2023年9月通期は約2422億ドルと順調に成長を続けています。それに伴い、営業利益や純利益なども増加しています。
これこそ、コストコが長期投資向きである大きな理由です。
なぜなら、店舗数増加による収益の拡大に伴い、財務の安定性が強固になっているからです。
こうした安定的かつ持続可能な成長が、投資家にとって投資の判断を決める重要なポイントとなるのです。
もしも10年前に投資をしていたら
仮に今から10年前にコストコに投資していたら、株価はどうなっていたかというと、
2014年1月1日の株価112.36ドルから10年後の2024年1月1日、コストコの株価656.01ドルまで上昇しています。
結果論ではあるものの、10年後に株価は約6倍まで成長しています。
さらに、株価だけでなく配当金も加わるので、もしも10年間保有していたら大きなプラスになっていたということです。
このように、コストコは景気に左右されにくいビジネスを展開し、長期的に安定した成長を続ける企業だからこそ、長期投資によって大きな恩恵を得られたことがみえてきます。
だからこそ、投資家として銘柄選びがとても重要であり、そのために投資先の企業を知ることが大切なのです。
おわりに コストコはエンタテイメントである
コストコが成功を収めている秘訣は優れたビジネスモデルだけでなく、小売業の枠を超えて、まるでエンタテイメントのような楽しさも提供していることにあると思います。
たとえば、コストコの店内は広々としており、商品の並びや新商品の発表が楽しみなイベントとなっています。また、サンプリングや特設コーナーなどで顧客に直接商品を試してもらうことで、買い物がより楽しくなり、会員になる魅力が広がっています。
つまり、コストコは商品だけでなく、その周りの雰囲気やサービスも含めて魅力を提供し、顧客にとっての「おでかけ先」となっているのです。
こうした面白さが、会員の継続と新規会員の獲得につながり、長期的な成功を支えています。
米国企業のなかでも優良企業として、コストコは今後も注目銘柄であり続けるでしょう。
文/鈴木林太郎
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