アメリカ旅行に必要なESTA。この取得は、一筋縄では行かない部分がある。
前科がない限り審査が通らないということは殆どなく、オンライン手続き自体も決して困難なものではない。ではなぜ「一筋縄では行かない」かというと、非常に紛らわしいデザインのサイトで集客している代行業者が蔓延っているからだ。
今回はこのような代行業者のサイトを避ける方法、そして万が一知らずに代行業者を利用してしまった場合の対処法について書いていきたい。
人々の誤解を誘発する代行業者
ESTAのオンライン申請及び発行は米国国土安全保障省税関・国境取締局の公式サイトで受け付けている。
このサイトは各国語に翻訳可能で、もちろん日本語にも対応する。従って、よほどネットに不慣れというわけではない限り自分の手で申請することができる。費用は21ドルだ。
ただし、ネット申請が得意ではないという人は旅行会社の窓口に行ってESTAの代行申請を依頼する手段もある。手数料はかかるが、これは誰にとっても安心確実なESTAの入手方法だ。
問題はネット上の代行業者である。
Googleで「ESTA」と検索すると、かなり上位に代行業者のサイトが表示される。このサイトを見てみると、名前もデザインもまるでアメリカの官公庁公式サイトのようだ。
トップページに「このサイトはESTA取得代行業者です」とは一切書かれていない。ページ下部に小さく「特定商取引表記」と記載されたリンクをクリックすることで、初めてこのサイトが日本の旅行関連企業が運営しているものと確認できる。
販売価格(申請料とは書かれていない)は税込8,690円。円安の昨今とはいえ、上記の21ドルからは大きくかけ離れている額だ。公式サイトで申請する時よりも手間が大幅に省けるというわけでもなく、これはどう贔屓目に見ても「人々の誤解を誘発している」と言わざるを得ない。
国民生活センターにも相談が
これに端を発するトラブルはやはり相次いでいるらしく、国民生活センターの公式サイトにもESTAに関する注意喚起が掲載されている。
事例
「アメリカへの渡航申し込み手続き」と検索したサイトで手続きをした。その後、クレジットカードで代行手数料として決済をしたが7千円請求されていることが分かった。公式サイトであれば14ドルのはずだ。
(公式?代行?ESTA等の申請の際は確認を!-国民生活センター)
この例は、知らず知らずのうちに代行業者を利用してしまったパターンだろう。なぜ気づかなかったかというと、つまるところ代行業者のサイトのデザインが紛らわしいから。
星条旗やハクトウワシ、自由の女神の写真がトップページに堂々と掲載されているサイト。そうした「いかにもアメリカ」を思わせるデザインには注意が必要……と言いたいところだが、本物の米国国土安全保障省税関・国境取締局のサイトも自由の女神の写真を使っている。
初めてのアメリカ旅行を控える人に「このサイトは公式サイトか代行業者か」を見極めさせるのは不可能とは言わないが、酷な話である。