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年賀状は20年で6割が消失、大型買収は失敗、日本郵政は再起できるのか?

2024.01.10

郵便料金の値上げに向けた動きが加速しています。総務省は2023年12月18日に25グラム以下の定型の封書の上限料金を84円から110円に値上げする案を示しました。ハガキは63円から85円への引き上げを検討しています。

2024年秋からの料金改定スタートを予定しており、実施されると実に30年ぶりの値上げとなります。

インフレを加味すると郵便料金の値上げは仕方がない面もありますが、日本郵政は小手先の業績回復策に留まらない、経営方針の変更や改革が必要です。

年賀状の消失は日本郵政の経営にどのような影響が?

国内郵便の縮小に焦って手を出したトール

日本郵政が上場したのは2015年。実はこの年から増収になったことはなく、9期連続の減収となっていました。予想通りに着地をすると10期連続となります。

決算短信より

2024年3月期の売上高は前期比2.5%減の10兆8,600億円を予定しています。直近通期の売上高は、2014年3月期と比較すると4兆円も低い数字。日本郵政は封書や手紙の文化がデジタル化によって失われ、国内の郵便事業が縮小することは十分に理解していました。

それが、オーストラリアの大手物流会社トールホールディングスの買収という意思決定に繋がります。

2017年4月に日本郵政の当時の社長・長門正貢氏は会見を開きました。その際、トールの買収は「日本だけでやっていくのでは成長が壁に当たることが見えている」と、M&Aに至った背景をはっきりと語っています。

しかし、6,200億円という大型買収は大失敗に終わります。オーストラリアの経済は都市部と鉱山地区の二極化が進行。鉱山地区の西オーストラリア州やクイーンズランド州はマイナス成長が続いていました。

トールが輸送で強みを持っていたエリアが正に鉱山地区。景気減速の影響を大きく受けたのです。

また、トールはM&Aを繰り返して成長してきた会社で、システムやバックオフィス業務が統合しきれておらず、コスト競争力に弱点がありました。

こうしたことは、買収前に十分検討していれば把握できたはず。しかし、それができずにわずか2年ほどで4,003億円の減損損失を計上しました。

日本郵政が買収を公表したのが2015年2月。上場する9か月ほど前であり、トールの買収によって成長性があることを投資家に示そうと、焦る姿が浮かび上がります。

「ゆうメール」は1年で1割縮小

日本郵政の業績悪化は単純そのもの。郵便事業の取扱数量の減少です。2023年4-9月の「ゆうメール」は前年同期間と比較して12.3%減少しました。郵便も3.4%減っています。

決算の概要より

「ゆうパック」は1.7%増加していますが、その効果は限定的。取扱数量は全体で4.7%縮小しました。しかも、「ゆうパック」が増加しているのは、「ゆうパケット」(5.1%増)によるもので、単価が高くありません。

「ゆうパケット」が増加した背景には、ヤマト運輸が2023年6月に同様のサービス「ネコポス」を廃止すると発表したことがあります。メルカリなどで活用されている「ネコポス」から「ゆうパケット」に転換する動きが広がりました。

ヤマトと日本郵便は提携し、今後は「クロネコゆうパケット」として日本郵便が配達することになりました。「ゆうパケット」の取扱量が増えるのは歓迎すべきですが、この領域は取扱量全体の6%程度。業績への影響は大きくないでしょう。その点、2024年から値上げが検討されている郵便はおよそ8割を占めており、業績への多大なるインパクトに期待ができます。

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