あえてクローズドなSNSが若者を中心に利用が拡大
XやInstagramの後継を目指すサービスとして「Threads」や「Bluesky」といったテキストをやりとりするSNSも多数登場しているが、牙城を崩せていない。そんな中、SNSの新しい潮流として「BeReal(ビーリアル)」が若者に急伸していると、ITジャーナリストの鈴木朋子さんは話す。
「BeRealは、通知が来たら2分以内に前後カメラで撮影した写真を投稿するSNSです。投稿は1日1回。通知が送られてくる時間はランダムです。通知が来ると周囲がザワつき、その瞬間にベストな投稿をするゲーミフィケーションが生まれています。〝映え〟や〝盛り〟の加工ができず、友人の知らない一面を垣間見ることも、親密度を増す結果になっています。SNSでは人気者かどうかを気にする人もいますが、BeRealはフォロワー数が見えないので〝SNS疲れ〟も起きにくいのです。フォロワーの多いクリエイターの〝発信力を強めたい〟というニーズに収益化プログラムの拡充で応える主要なSNSと、仲間内のやりとりに使われるクローズドなSNSの二極化が今後は進みそうです」
仲間内でのやりとりはクローズドなSNSへ
ITジャーナリスト
鈴木朋子さん
SNSやアプリなどスマホを主軸にしたサービスを追っており、書籍や雑誌、Webに多くの記事を執筆。スマホネイティブと呼ばれる10代のIT文化に詳しい。著書は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)など多数。
鈴木さんのトレンド予測2024
仲間内でのやりとりはクローズドなSNSへ
近年、複数アカウントや公開範囲を限定する機能を使って、親しい人とだけ交流する人が増えている。こうした人々の心を、BeRealはつかんだといえる。拡散を望まない人たちは多く〝SNS疲れ〟の心配がないクローズドなサービスはますます注目されていくだろう。
クローズド系からメタバース系まで2024年は新サービスがひしめき合う!
クローズド系
会員登録制で気軽に投稿できる
「翡翠SINGS(カワセミシングス)」
会員登録をしたユーザーのみが利用可能。独自の「ペルソナ機能」を持ち、ユーザーは複数のプロフィールを作れる。画像やテキストのほか、動画、音声などの投稿にも対応予定。
最大6人だけの小規模がいい!
「miatto(みあっと)」
最大6人のコミュニティーでは写真と文字を組み合わせて投稿可能。画像などを送り合える「トークルーム」をはじめ、内面を打ち明けながら少人数のコミュニケーションが楽しめる設計になっている。
メタバース系
アイテムを集めて着飾るのを楽しめる
「Centennial(センテニアル)」
デジタル仮想空間を舞台とし、ソーシャルスペースではユーザー同士での交流も楽しめる模様だ。2024年初頭に米国市場でリリース予定。
アバター同士で気ままに過ごせる!
「Bondee(ボンディー)」
アバターを作って「友だち」と交流するSNS。「いいね」や〝映え写真〟の投稿は不要。アバターを着飾って遊び、自由に振る舞える。
位置情報共有系
互いの位置情報を簡単にチェア!
「Jagat(ジャガット)」
GPSで滞在時間を検知して位置ラベルを自動更新するシステムを採用。メッセージ機能によりチャットや絵文字の送信も簡単。
炎上防止系
不適切な表現をAIでチェック!
「DYSTOPIA(ディストピア)」
ChatGPTを用いたAIで投稿前の文面を分析し、不適切だと思われる内容を別の表現に変換。適切な表現で投稿される仕組み。
取材・文/鈴木朋子、編集部