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温室効果ガスの排出量を実質0にする「ネットゼロ」、達成が見込める企業はどれくらいあるのか?

2024.01.10

温室効果ガスの排出量より吸収量や除去量を差し引きしてゼロにすることを指す「ネットゼロ」。この達成に向けて国や企業で様々な取り組みが行われているが、アクセンチュアはこのほど、最新調査の結果を発表し、それによると、2050年までにネットゼロ達成が見込める企業は、わずか18%(日本では15%)であることが明らかになった。また、現在の経済環境においては、38%の企業は脱炭素化のためのさらなる投資はできないと回答している。

しかし、世界全体のCO2排出量の40%を占めており、エネルギー消費が多く、排出削減が困難な、鉄鋼、金属、鉱業、セメント、化学工業、貨物・物流といった重工業において、その成長を可能にする脱炭素戦略を変革することで、この状況を3年以内に打破できる可能性がある。

経済的障壁を打破し、ネットゼロを加速する経済成長へ、求められる業界横断での取り組み

アクセンチュアの最新調査レポート「Destination net zero(邦題:2050年ネットゼロ実現に向けて)」は、世界の大手企業2,000社のネットゼロへのコミットメント、脱炭素に向けた活動、排出量のデータを分析している。加えて、産業界の脱炭素化における当面の課題と優先課題を把握するため、14の業界と16カ国にわたる1,000人以上の経営幹部を対象とした調査に基づいている。

本レポートでは、ネットゼロの達成を目標にする企業は、2022年の34%から37%へ微増した。その一方で、排出量を開示している企業の49.6%では、2016年以降排出量が増加している。また、32.5%の企業は排出量を削減できているものの、現在のペースでは、2050年までのネットゼロ達成は難しい状況だ。

企業レベルでこの問題に対処するため、本レポートでは、脱炭素化に向けて、エネルギー効率の改善や再生可能エネルギーへの転換などの既に確立された手段から、グリーンITの導入、ビジネスモデルの変革、炭素除去といった、より難易度の高い手段まで幅広い手段を提示している。

アクセンチュアの欧州・アフリカ・中東地区の最高経営責任者(CEO)を務めるジャン=マルク・オラニエ(Jean-Marc Ollagnier)氏は次のように述べている。

「企業によるネットゼロに対するコミットメントが増加したことは喜ばしいことですが、重要な脱炭素施策の採用は一様ではなく、基本的な取り組みを実行できていない企業もあります。 ネットゼロの達成は、企業にとって多くの障壁が存在しますが、事業の成長とネットゼロ対応の方向性を統合し、自身を変革し、バリューチェーンを再構築する機会でもあります。また、需要と供給の分断に対処する必要があるため、これは企業にとどまらず、エコシステム全体のチャレンジでもあります」

また、アクセンチュア株式会社 ビジネス コンサルティング本部 サステナビリティ プラクティス日本統括 マネジング・ディレクターの海老原 城一氏は、次のように述べている。

「日本での調査結果に目を向けると、ネットゼロの達成を目標にする企業は57%に上り、世界平均の37%よりも高い値になっています。その一方で、2050年までにネットゼロ達成が見込める企業は、世界平均の18%よりも低い15%に留まっています。ネットゼロに対する高い意欲を踏まえ、それを実現させるためには、自社による直接的な排出量だけでなく、サプライチェーン全体で考える必要があります。Scope3と定義されるサプライチェーン全体での排出量削減に向けて、取引先企業も含むエコシステム全体で計画的かつ具体的なアクションが求められています。アクセンチュアは、これらに取り組む企業と一緒に、脱炭素社会の実現を目指してまいります」

また、アクセンチュアの調査レポート「Powered for Change(邦題:脱炭素社会への転換に向けた原動力)」では、経営者を対象に調査を行い、世界全体でのネットゼロ目標の達成には、重工業の変革が不可欠であることが明らかになった。

重工業は世界最大のCO2排出源であると同時に、パルプ・製紙、航空宇宙・防衛、自動車、産業機器、ライフサイエンス、消費財などの製造業/軽工業と相互依存している。しかし、脱炭素化の経済性と産業間での構造的な不整合が、この進展を妨げている。

■低価格で低炭素なエネルギーへのアクセスと利用可能性の改善が必要

重工業の経営者の81%は、自社の産業を脱炭素化するために必要なゼロカーボン電力を確保するのに20年以上かかると予想している。一方、エネルギー事業者では自社の事業を脱炭素化することに焦点を当てている、

■低炭素製品の商業的な採算性への信頼を強化することが必要

重工業の経営者の95%は、ネットゼロの製品やサービスをCO2消費量の多い代替品と同程度の価格で提供するには、少なくとも20年はかかると予想している。また、54%の重工業の経営者は、メーカーの調達意向が脱炭素化への投資に十分な信頼をもたらすと回答している。

■コスト管理への懸念に対処することが必要

重工業の経営者の40%は、現在の経済状況下で脱炭素化のためのさらなる投資を行う余裕がないと回答している。また63%の重工業の経営者は、優先的に取り組むべき脱炭素化対策が2030年までには経済的に魅力的なものにならないことを示唆している。

アクセンチュアで素材・エネルギー業界の成長戦略業務とサステナビリティ・サービスをグローバルで統括する、マネジング・ディレクターのステファニー・ジャミソン(Stephanie Jamison)氏は次のように述べている。

「重工業の迅速かつ経済合理性のある脱炭素化には、バリューチェーン全体での協調行動と、Compressed Transformation(戦略、デジタル、オペレーションを含むすべてを変える全社変革)が必要です。重工業だけが脱炭素化の全コストを負担し、その結果ネットゼロ目標を達成できなければ、全産業での目標達成も困難になるでしょう」

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