2024年を迎えました。多くの方が新たに目標を設定し、今年をより良い一年としたいという思いを抱き新年を迎えていることと思います。振り返ってみると、2023年に良く聞くワードとして「リスキリング」がありました。
■リスキリングとは?
新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること
経済産業省によるとリスキリングは上記のように説明されています。リスキリングはDX人材に必要なスキルとして扱われることがありますが、あくまでも知識の獲得でしかありません。このためいざDXなどの社内改革に取り組もうと思っても、役に立たないことも。むしろ、リスキリングではなくプロジェクトを進める推進力や、プロジェクトを進める方法などが必要になったりするものです。
本稿ではリスキリングを実施した後に必要になる、プロジェクト管理の方法を詳しく解説します。
1、プロジェクトのゴール設定を行う
プロジェクトマネージャーに求められている責任とはプロジェクトを成功させること。正確に表現するとプロジェクトを成功に導くため「チームを管理すること」が大切です。
このため、まずは「成功とは何か」を定義する必要があります。
ですがあいまいな表現はNGです。例えば「このシステムを来年あたりまでに運用できるようにしよう」といったような形です。この場合ですと、状態が曖昧なまま見切り発車してしまい、ズルズルと時間ばかり浪費し、運用できずじまいになることがあるのです。
成功を定義する際は、下記の2点に留意しましょう。
(1) 「いつまでに」「どの様な状態を果たすこと」がプロジェクトの成功なのかを定義する
(2) (1)を構成する要素を分解し、チーム毎・メンバー毎の成功を「いつまでに」「どの様な状態を果たすこと」を定義する
また(2)において設定したゴールの粒度を落とし、チーム毎・メンバー毎の「いつまでに」「どの様な状態を果たすこと」をメンバーに見える形にして認識させることもプロジェクトリーダーの果たすべき責務です。
2、権限を確認する
成功への管理を行うために必要なプロジェクトチーム内での権限を、プロジェクトオーナーに上申しましょう。この際注意すべきは「責任」と「権限」をセットで上申することです。
「〇〇という責任を果たすために△△という権限は必要です」といった形です。
また権限確認後は、プロジェクトメンバーの免責を排除するのも大切です。プロジェクト成功のためには、目標と関係のないタスク・業務をこなす必要ももちろんあります。しかしそのタスクが言い訳になってしまっては本末転倒です。したがってメンバーの免責が発生しそうな場合には、すぐに直属の上司に事実報告ができる体制を構築することも大切です。
プロジェクトの成功確率が高い「心理的安全性が高いプロジェクトチーム」を構築するためには、自身の役割を果たすうえで懸念が生じた場合に、すぐに上司に事実報告ができる組織です。
3、プロジェクト内の進行ルールを作成する
誰でも価値観・仕事の進め方は自己流のものをもっています。これは今まで所属していた組織、会社、役割が違っていたのだから当たり前のことです。しかし各々がマイルールに従いプロジェクトを進行すると当然、チームは崩壊します。
責任、権限を明確にした後、新任プロジェクトマネージャーが作成すべきはプロジェクト内での進行ルールです。
例えば下記のようなものがあげられるでしょう。
・メンバーは毎日定例MTGを設定し、前日の進捗と当日の予定を報告する。
・週に一度、メンバーは進捗状況や課題を報告する週報を提出する。
・設定タスクや進捗状況を管理するためのツール(例: Trello、Asana等)を使用し、タスクの割り当てや期限を明確にする。
・重要な情報は共有ドキュメントやチャットツールで共有し、メールの使用を最小限に抑える。
・重要な意思決定事項は文書化し、なぜその結論に至ったのかを明確にする。
・ミーティングへの遅刻や欠席は遅くとも3時間前に報告する。
また、ルールは設けるだけではなく、変更などを行う際の意思決定者を決めておく必要があります。特に複数部門にまたがるルールは意思決定者が誰なのかが曖昧になり、ルールが形骸化する可能性が高くなります。
4、定例MTGを設定する
定例ミーティングと週次の進捗の報告書を提出ルールは必ず設定しましょう。週報の中に必ず組み込むべき項目は下記になります。
・1週間の進捗目標
・目標に対する結果
・目標に到達していなかった場合、不足が発生した理由
・不足の理由を改善するためにどのようにアクションを行い、いつまでにリカバリーするのか
この4項目を週報のフォーマットとします。
プロジェクトマネージャーは本来やるべき仕事も持っているため、プロジェクトメンバーを個別には見れません。したがって、1週間という区切りとなる点を打ちながら、目標と結果を把握することで管理コストを大幅に削減できます。
まとめ
本稿では、リスキリングと合わせて学びたいプロジェクトマネジメント方法を解説しました。スキルをつけることは大切ですが、一方で物事は経験を通して学んだほうが早いことも多いです。ことDXについては知識だけでなく、実践も求められます。ふと困ったときに本稿が手助けになれば幸いです。
この記事はマネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」による寄稿記事です。