なぜ500円なのに10円?その違和感がヒットにつながる
価格は500円なのに10円玉の形をした『10円パン』。真意が明らかでないにもかかわらず、21時という明確な時間が商品名に入ったアイスクリーム。「なぜこの数字?」という違和感がウケて、SNSなどでも話題となったのが「数字グルメ」だ。ちなみに『21時にアイス』が21時なのは、コロナ禍で飲食店が21時までしか営業できなかったことを受け「21時以降に食べられるデザート」として売り出したことが理由だそう。
「数字の商品名はキャッチーなので、SNSとの親和性も高く、ヒットにつながるのは納得できます。消費者にとっては『なぜアイスが21時なのか?』より、数字のインパクトのほうが重要。ただし、大手メーカーの場合は数字に明確なエビデンスがないと商品名にするのは難しい。規模が大きくない会社や個人店だからこそできる、大胆なマーケティング手法だと思います」(流通アナリスト・渡辺広明さん)
一方、『2Dケーキ』が特徴的なのは同じ数字でも〝2D〟というビジュアルの違和感。本物なのにイラスト風を演出する新たな映えは、いったいどこから生まれているのか?
「2Dが注目される背景には、リアルな〝映え〟が行き着くところまで行ったことの逆転現象として、地味化が進む兆しがあるのかなと。また『10円パン』も『2Dケーキ』も韓国発ということで、まだまだ韓国発製品はヒットを生み出す人気と発想力があるのだなと改めて感じますね」(渡辺さん)
根拠よりも楽しさやおもしろさ、違和感こそ、新しいのだ。
明確な数字を商品名にする違和感その大胆な発想がヒットの要因に
流通アナリスト
渡辺広明さん
マーケターやコンビニバイヤーなど様々な分野で活躍し、約760品目の商品開発に携わる。講演や報道、メディア出演と幅広く活動中。
ヒットの方程式「数字グルメ編」
数字で言い切ることでキャッチーに
数字の違和感をあえて楽しむスキをつくる
SNSの〝映え〟は今後、地味化が進む可能性
トリックアートのような新しい〝映え〟で月平均売り上げ2800個を達成
2D cafe 新大久保『2Dケーキ』
770円
カットされたショートケーキのフチに黒い線を引くことで、本物のケーキにもかかわらず平面の2Dイラストのように見える。その違和感を楽しむ不思議な〝映え〟が大ヒットに。
『2Dケーキ』は新大久保の「2D cafe」で販売。店内も2D仕様に!
コロナ禍の〝21時まで営業〟で夜のテークアウト需要がアップ!
21時にアイス『紫芋モンブラン』
650円
コロナ禍の時短営業の際、21時以降でもデザートが楽しめるテークアウトの店として誕生。お酒を飲んだあとに食べたくなるあっさりとしたミルクアイスがベースで、紫芋などの和テイストを中心に20種類以上のフレーバーを展開。
韓国の『10ウォンパン』から発想。全国累計100万個が売れた!
大王チーズ『10円パン』
500円
韓国の慶州で大人気の『10ウォンパン』から着想を得て開発。ベビーカステラのような生地を割ると、〝大王チーズ〟と呼ばれるチーズがたっぷり入っている。形は10円だが価格は500円。
たっぷり入ったチーズはとろりと溶けて伸びるのが魅力。ほか、チョコやカスタードなどの味もあり。
取材・文/高山 恵
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年11月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
「DIMEトレンド大賞」受賞商品も一挙紹介!DIME最新号は2023年のトレンドの総復習から2024年の最新トレンド予測まで網羅した超・保存版
今月のDIMEは2023年の総決算!爆売れ商品を分析してDIME編集部が導き出した「ヒットの方程式」を大公開するほか時代を先取る専門家たちに総力取材した「NEXTトレンド」も必見です! 次のビジネスチャンスを一足お先にキャッチアップできる、まさに保存版!毎年恒例「2023年第36回小学館DIMEトレンド大賞」の発表もあります。2023年のトレンドを振り返り、来る未来に乗り遅れないために必読の一冊です!『DIME』の最新号、ぜひお買い求めください。