Web3.0推進の背景から、日本でブロックチェーン技術にさらに注目が高まっている。仮想通貨のイメージがあり、日本人にとってなじみにくい感覚があるが、実は使いようによっては日本のビジネスとの相性が良い面もあるようだ。ブロックチェーン技術の専門家に聞いた。
ブロックチェーンは日本の強み「製品」「コンテンツ」流通と相性が良い
暗号化技術のブロックチェーンは、仮想通貨「ビットコイン」から使われ始めたといわれているが、他にもさまざまな分野で活用できる。
ブロックチェーンを今後、日本で活かしていくには、どんなことが考えられるか。
ブロックチェーン技術を活用したIoTプラットホームの開発提供を行うジャスミー株式会社 取締役 兼 ソフトウェア開発統括の萩原崇氏によると、日本企業の強みである「ものづくり」の分野に活かせるのではと言う。
製造業による製品全般のほか、映画やアニメなどのコンテンツやそれらにまつわる商品、日本酒や米などの特産物。それらの流通におけるトレーサビリティや透明性の確保に役立てられるという。
日本のものづくりのクオリティの高さや繊細性は世界的に高い評価を受けているが、ブロックチェーンを利用することにより、そうした強みを持つ日本製品やコンテンツが守られることで、信頼性が増すことが期待される。
ブロックチェーンの3つの特徴
ブロックチェーンについて確認しておこう。萩原氏によれば、ブロックチェーンには主に次の3つの特徴があるという。
1.トレーサビリティ(追跡可能性)
すべての取引履歴をブロック上に保持する。
2.耐改ざん性(改ざん困難)
複数のノード(コンピュータ)で同一データを保持する。
3.透明性(情報の共有化)
参加者が同じデータを同期・共有してそれぞれが記録・保持する。
ブロックチェーン上では、「誰がアクセスして、どんなやり取りを行ったか」など、すべての取引が記録され残り続ける。そしてその取引は誰も変更できない。変更をしようと試みることはできるが、現実的には不可能。さらにブロックチェーンに参加しているメンバー間では取引が丸見えであることから、必然的に透明性や共有性の高さも特徴となる。
この3つの特徴が最もマッチしたのが暗号資産、つまりお金のやり取りの用途だったのでは、と萩原氏は言う。