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セールスフォースを生み、成功へと導いた創業者マーク・ベニオフの半生

2024.01.08

セールスフォースの設立と初期の課題

1999年にべ二オフは3人の仲間と共にセールスフォースを設立しました。

設立から数か月、ベニオフ氏は自身の会社としてのビジョンを深めていきました。

オラクルで培った経験を基に、従来のビジネスモデルに疑問を抱き、インターネットを活用した新しいサービスの可能性を追求していました。

これが後のセールスフォースの独自性と革新性に繋がります。

実際、セールスフォースは営業に必要な機能を網羅しており、顧客情報の管理や共有、営業活動の分析・可視化、そして営業プロセスの自動化など、全てをサポートしています。

さらに、顧客対応、マーケティング、Eコマースなど、さまざまな業界や企業のニーズにも対応可能です。そのため、どんな企業でもデジタルトランスフォーメーション(DX)を促進する手助けをしてくれます。

とはいえ、初期のビジネスモデルや無料トライアルの導入により一定の成功を収めましたが、2001年のインターネットバブル崩壊に伴い、経営危機に直面します。

危機を乗り越えた戦略の変更

創業初期のアプローチは、まず無料トライアルを提供し、利用者が気に入れば毎月の利用料を支払うスタイルでした。しかし、月ごとの収益確保と並行して、販売担当には1年の契約を前提とした手数料を支払っており、これが資金不足の要因となっていました。

実際、無料トライアルは導入が容易である反面、企業内での理解が得られておらず、導入が上手くいかないケースも散見されたようです。

そこでベニオフは戦略を大胆に変更します。まず無料トライアルから有料トライアルに転換し、前払い制の1年以上の長期契約を導入。これにより、同社の資金フローは大幅に改善され、多くの顧客がこのアプローチに合意してくれました。こうした過程を経て、べニオフは経営危機をうまく乗り越えることができました。

社会貢献モデル「1-1-1モデル」

「セールスフォースがどれほど成長しようとも、非営利団体や慈善団体を支援するために製品の1%、株式の1%、終業時間の1%を寄付する」

セールスフォースの独自性は、企業文化における社会貢献モデル「1-1-1モデル」にも表れています。製品、株式、従業員の就業時間それぞれの1%を非営利活動に寄付し、社会に対する使命感を実践しています。この取り組みが、企業の評価を高めました。

なぜなら「1-1-1モデル」は、ベニオフ氏が企業が単なる利益追求だけでなく、社会への責任を果たすべきだとの信念から生まれました。彼はこれを通じて、企業が成功するだけでなく、地域社会や環境にも貢献できる手段を提供しました。この取り組みは従業員にも高いモチベーションを与え、組織全体に前向きな影響を与えています。

セールスフォースの成功と評価

セールスフォース・ドットコムは順調な成長を遂げ、2004年6月に米ニューヨーク証券取引所に上場します。ベニオフ氏の個人的な社会的影響力と企業の評価が高まり、同社は「世界で最も革新的な企業」「働きがいのある会社」として世界的に認知されることとなりました。

上場に際しては、ベニオフ氏は従業員一丸となってこの日を迎えたことに感謝し、彼らの協力がなければここまでの成功はあり得なかったと述べました。同時に、彼は今後も変革と革新を続け、企業としての使命を全うしていく決意を新たにしました。

現在までに、セールスフォースはますます多様な分野での展開と、持続可能な成長を続けています。

おわりに

マーク・ベニオフとセールスフォースの成功は、単なる経済的な成功にとどまりません。

ベニオフは、企業が社会に対しても責任を果たすべきだという信念を持ち、独自の社会貢献モデルを展開しました。このモデルにより、セールスフォースは利益追求だけでなく、社会的な価値も提供しています。

その使命感と責任感が企業に特異なアイデンティティを与え、従業員や顧客と共有する価値観を築き上げているのです。

企業が経済主体だけでなく、社会に対しても意味ある影響を持つべきだというベニオフ氏の信念は、世界中で多くの共感を生んでいます。

文/鈴木林太郎

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