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こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。
―― なぜ離婚したいんですか?
妻
「夫が夜の営みの時に、靴を履かせてくるんです。もう耐えられません」
裁判所
「相当に異様な性交方法だ……。離婚請求を認める!」
昭和35年の事件ですが、令和においても、アブノーマルなSEXを強いられている方は離婚請求できるかもしれません。
以下、分かりやすくお届けします(大阪地裁 S35.6.23)。
※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換
登場人物
▼ 妻
・27歳(結婚当時)
・薬局で勤務
▼ 夫
・36歳(結婚当時)
・会社で勤務
・再婚
・前妻との子が1人いる
どんな事件か
――SEXする時に靴を履かされることなどがイヤすぎて離婚したいそうですが、結婚前は彼の性癖を知らなかったんですか?
妻
「はい……。私たちは見合い結婚で、お付き合いの期間はありませんでした」
▼ 結婚後の生活
結婚後、妻は夫の家族と同居することになりました。同居のメンバーは、夫の母・夫の弟(大学生)、夫の前妻の子です。なんで弟もいるんだよって感じです。
同居後、妻はカナリ辛い生活を強いられていました。夫が妻に給料を渡さないし、夫の母が家計の一切を取り仕切っていたようです。絶望です。しかも、夫には以下のような性癖がありました。
▼ 夫の性癖
すでに新婚旅行から夫の性癖は炸裂していました。
■ 新婚旅行のSEXで妻に靴を履かせる
新婚旅行に出かける時、夫が妻に「私は足が疲れるので靴を2足用意しておくように」と謎の指示を出しました。妻は「……?」と思ったのですが、その靴が夜の営みに使われようとは。
にしても、昔の判決文はリアルですね。もはや官能小説です。
―― それは新婚旅行の時だけですか?
妻
「違います……。夜の営みの時は毎回靴を履くことを要求されました。しかも、家にいる時は、夫はずっと私にひっついていて体を触り続けてくるんです」
▼ 実家に帰りてぇ……
結婚して1か月ほど経ったころには、妻はすでに限界を感じていました。妻は夫に「実家に帰りたい……」と懇願し、その結果、夫妻だけでアパートを借りてそこに引っ越しました。
しかし、妻の夫に対する不満や嫌悪感は収まらず。離婚することを決意。実家に帰り、そのまま別居を続けて訴訟を提起しました。