競合が出てこない理由
しかしなぜ「北多摩製作所」でしか作っていないのか?競合が出てきても良さそうだが。。。
「弊社のおみくじ器は電子系統を何も使わず、バネと職人の感覚だけで作っているので、他では真似できないんだと思います」
――ということは全部手作りですか?
「もちろん。1個1個手作りで常時2人の職人が作っています。1日で10個作ればいい方ですね」
――たった2人!?
「そうです。長年やっていただいている職人さんでお二人とも70歳前後ですかね。忙しい時はパートの方にもお手伝いしてもらってますが」
――てことは職人さん以外の人でも作れるってことですか?
「はい。設計図通りにやってもらえれば組み立てるのはパートさんでも大丈夫です。ただ、最後の調整は職人さんにやってもらいます」
――手作りでなく工場生産を考えたことは?
「それは考えたことないですね。大量生産するほど売れないですし(笑)」
かつては特許も取っていたそうだが、100円硬貨しか受け付けない仕組みは誰にも真似できず、「今更わざわざ作ろうと思う人もいないだろう」ということで、現在は更新していないという。
大ブームを巻き起こすわけでもなく、かといって忘れ去られる存在でもない。日常の一部に些細な文化として根付き、定着しているルーレット式おみくじ器。息の長い商品へと成長した秘密はなんなのか?進藤さんはこう語ってくれた。
「おみくじや占いというのはいつの時代も人に寄り添ってくれますよね。困った時、頼りたい時に100円でカチャっとやって笑顔になったり、もしかしたら救われる人もいる。それが長く愛されている理由なのではないでしょうか。今後も飽きられるまでずっと作っていきたいです」
現在、この「ルーレット式おみくじ器」は岩手県滝沢市のふるさと納税の返礼品にもなっている。これまで赤、青に加えて緑バージョンや地元名産のスイカ柄、伝統行事「チャグチャグ馬コ」をあしらった限定デザインを発表したことも。
さりげなく進化を続けるおみくじ器だが、2024年1月にアレが再販される。
「以前販売した時は2日で売り切れて、計30万個以上売れたガシャポンが1月に発売されます」(進藤さん)
本物の約1/2のサイズに縮小したミニサイズのため、クジは3本しか入らないが全国のカプセル自販機にて発売されるということなので気になる方は是非!
取材協力
有限会社 北多摩製作所
文/太田ポーシャ