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地方の喫茶店で見かけるルーレット式おみくじ器を日本で唯一作り続けているメーカーにライバルがいない理由を聞いてみた

2023.12.31

喫茶店で見かける昭和レトロと言えば、「ルーレット式おみくじ器」。

一体誰がやるんだ?と思いながらいつもやってしまう自分がいる。

自分の星座のところに100円玉を入れてレバーを引くとルーレットが回り、おみくじが出てくる。誰もが一度はやったことがあるはず。実はこのルーレット式おみくじ器は40年に亘るベストセラー商品で、しかも日本で一社だけが手掛ける貴重な昭和遺産だということをご存知だろうか。

最盛期には年間約20万台を製造

製造・販売しているのは岩手県滝沢市の「有限会社 北多摩製作所」。

メイン事業はパソコン部品を組み立てる際に必要な土台をなどを作製する金属精密加工なのだが、とあることをきっかけにおみくじ器の製造を“副業”で始めたところ大ヒットしたという。

相変わらず続く昭和レトロブームをさりげなく後押ししてきた「おみくじ器」はいかなる経緯で生まれ、なぜ今尚ヒットしているのか?北多摩製作所おみくじ事業部の進藤卓弥さんに話を聞いた。

――ルーレット式おみくじ器を作り始めたきっかけは?

「1983年頃の話になりますが、先代の社長が知人と話している時に『最近、喫茶店でおみくじが流行っている』と聞いたらしく、金属加工の技術を使えば作れるんじゃないかと思って、開発を始めたそうです。当時は『灰皿付きおみくじ器』が流行していたらしく、これは儲かるんじゃないかと思ったみたいです笑」

――しかし、最初は売れなかったとか?

「そうなんです。弊社では灰皿付きではなく、ドライフラワーが入った球体のおみくじ器を作り、差別化を図ろうと思ったんですがヒットしませんでした。当時の喫茶店では喫煙が当たり前だったので灰皿なしのものは需要がなかったんだと思います」

その後、当時珍しかったルーレットを採用したおみくじ器を開発。先代が地道に喫茶店を周って売り込みを続けたところ、徐々に口コミで知れ渡り、売り上げを伸ばしていったという。

最盛期には年間約20万台を製造。以来、毎年コンスタントに2000台売れており、現在は全国の喫茶店やレストランなどで推定約100万台が人々にひとときの笑いと癒しを与えている。

「爆発的なヒット商品というわけではないですが、NHKの朝ドラ『まんぷく』や『半分、青い』、『あまちゃん』などでも使っていただいた時は問い合わせが増えましたね。日本ではウチでしか作っていないので紹介されるたびに注文が殺到します」

加えて「ルーレット式おみくじ器」は1台からでも購入可能なため、個人や海外からの注文も少なくないとか。ちなみに1台の値段は59本のくじ入りで9900円(税込)。

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