2. 株式投資の税金について、申告は必要?
株式投資の税金について、ほかの所得(事業所得・不動産所得など)と同様に確定申告をする必要があるかどうかは、利用している証券口座の種類によって異なります。
確定申告をするのは面倒だと感じる場合は、「特定口座・源泉徴収あり」を選択するとよいでしょう。
ただし、株式投資の利益については、以下に挙げるように、確定申告をした方がよい場合もあります。確定申告の要否については、税理士などのアドバイスを受けましょう。
(1)譲渡損失が生じた場合
翌年以降3年間の繰越控除が認められ、税額を軽減できることがあります。
参考:No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除|国税庁
(2)過去3年間の譲渡損失の繰越控除を受ける場合
過去3年間において生じた譲渡損失について、その年に繰越控除(上記(1))を受ける場合は、確定申告が必要です。
(3)配当控除を受けるメリットがある場合
確定申告をして、配当金について総合課税(ほかの所得と合算した上での課税)を選択すると、配当控除を受けることができます。
源泉徴収による税額よりも、配当控除を受けた場合の税額の方が少なくなる場合は、確定申告をした方が有利です。
参考:No.1250 配当所得があるとき(配当控除)|国税庁
(4)外国税額控除を受ける場合
日本の居住者が、外国株式について外国に納めた税金については、確定申告をすれば外国税額控除を受けることができます。
3. NISA口座における税金の取り扱い
株式投資の配当金と譲渡益には税金がかかるのが原則ですが、NISA口座内で購入した株式については、所得税および住民税が非課税となります(外国の税金はかかります)。
2024年以降、NISAは大幅に拡充され、年間最大360万円の金融商品を非課税で購入できるようになります(そのうち、株式の購入に充てられるのは成長投資枠の240万円)。
参考:NISAとは?|金融庁
4. まとめ
株式投資による損益は、課される税金も考慮した上で計算するのが適切です。関連する税金を正しく理解して、納得できる形で株式投資を行いましょう。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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