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こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。
裁判例をザックリ解説します。ファイト!
Xさん
「足りない分の給料を請求します」
会社
「アナタ、文句言わずに給料を受け取って働き続けてたじゃない!」
こんなトラブルが裁判になったケースをご紹介します。
裁判所
「Xさんの勝ちだね。足りない分の給料はらえ」
以下、わかりやすく解説します(ユニデンホールディングス事件:東京地裁 H28.7.20 労判1156)。
※ 争いを一部抜粋して簡略化
※ 判決の本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換
登場人物
▼ 会社
・エレクトロニクス事業を中心に展開する会社
・グループ従業員1677名
・東京証券取引所1部上場
▼ Xさん
・管理本部人材開発部部長
・おもに中途採用業務を担当
・人事総務部長も兼務
どんな事件か
▼ ウチんとこ来ないか?
Xさんは別の会社で働いていたのですが、創業者から会食に招かれ、我が社に来ないかと誘われました。
会社はかなりXさんに惚れていたのでしょう。Xさんに雇用条件通知書を郵送する際、「鶴首して吉報を待っています」という手書きの便箋も入れました。私は初めて聞きましたが、「首を長くして今か今かと待ちわびる」という意味らしいです。死ぬまで使うことはないでしょう。
▼ 入社
H23.6.1、雇用契約を締結します。年俸は1466万円です(年俸額について会社は争ってきましたが裁判所は入社までの経過や書面を見て1466万円と認定)。
▼ なぜか支払われたのは1300万円だけ……?
しかし会社は、1300万円だけしか払いませんでした。Xさんはこの金額に異議を述べたり、不足分を請求したりしませんでした。
▼ 降格&給与の減額
H25.4.1、Xさんは降格させられ、給与も減額させられました。この時もXさんは特に異議を述べませんでした。
▼ 退社後、反旗を翻す
H26.4.1、Xさんは退社します。そして不足分の給料などを請求するため訴訟を提起しました。