ユーザーが求めるポイントを検証するために
数えきれないほどの検証を行ってきた田口さんだが、それぞれの違いをユーザーに届けるために多くの苦労を重ねているという。
「検証を『こうやろう』と思っても、上手くいかないことも多いんです。もっと専門的な機械が必要だとわかることもあります。LANケーブルの検証を行った時、最初に考えた検証だと、速度が全部同じであまり変化がなく、ノイズの影響をどうやって検証するべきか詰まったこともありました。その時は、LANケーブルの開発製造をしている企業に行って検証させていただき、『カテゴリ5E以上で、短いものであれば10Gは出る』ということがわかったんです。強いノイズが発生した時に、性能が良いLANケーブルほど通信速度がブレないこともわかりました。家庭の使用ではあまり影響しないんですが、ゲーマーさんとか20m以上配線する人にとっては大事になってくる部分です。根底には、ユーザーさんに『本当のことを教えてあげたい』という気持ちがありますね」(田口さん)。
来年は国内メーカーの商品、MicrosoftのCopilotに注目!
最後に、来年以降のトレンドについて田口さんの予測を伺った。
「来年は国内メーカーの新製品に期待をしています。今年は中華メーカー・韓国メーカーが目立ってきて、『たしかに良い』と思えるものが増えています。今年の後半になって、エレコムが新しいトラックボール『IST』シリーズを展開したりとか、PCメーカーのVAIOも『定番商品』のような新しいものを出したりと、対抗しているのかな?という期待が高まっています」(田口さん)。
また、Windows11のOSに搭載されるクラウド型人工知能ツール「Copilot」により、多くの人が簡単にパソコンを使いこなせるようになるのではないかと、田口さんは期待を込めてこう話す。
「Windows11のOSにCopilotが搭載されることになったので、パソコンが苦手な人が簡単にエラーを解決できて、もっと使いやすくなっていったら良いなと思っています。AIの発展によって、すべての人がパソコンをさらに使いやすく、デジタル機器に触れやすくなることに期待しています」(田口さん)。
取材・文/久我裕紀 撮影/篠田麦也