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ヒョンデ「IONIQ 5」に乗って気づいた今の日本車に欠けているもの

2023.12.28

日本車の上から目線はもう通じない

 太陽の元で見るアイオニック5は写真で見るより、さらに存在感を放っていた。全体のフォルムは、最近のBEVで主流とも言えるSUV的なものではない。本来なら一番人気のこのセグメントに投入してくるのは悪くないはずだが、アイオニック5のそれは、ゴルフなどに属するハッチバック的に見える。だが、その全高を見てみると1645mm(ゴルフ8の全高は1,475mm)であり、全高 1,655~1,665 mmある日産アリアとほぼ同じであり、クロスオーバーSUVと呼んでいい高さである。

 自分の中で何か尺度に対する感覚がおかしくなったのではと、と一瞬思うのだが、少しすると敢えてセグメント分けしなくても「これはこれでいいよな」と納得出来るようになる。実はフェンダーアーチやボディの下部分にブラックのパーツがなく、ボディと同色。これによってSUV感が希薄になり、ボディサイドのZ型のラインを始めとした幾何学的なデザインとが融合して、独特の存在感を演出していたのだ。

 グッと睨みのきいたフロントフェイス、エッジが何本も走るボディサイド、横方向にスクエアなラインが走るリアスタイル。ヘッドライトもリアライトも共通のデザインテイストで貫かれている。ある人は「ガンダム的」という表現を使ってはいるが、そんな表現を使わなくてもこのデザインによって日本の道路では確実に視線を集める。

 ドアを開け、シートに腰を下ろす。外観の高質感から一転、非常に柔和な雰囲気を感じさせるインテリアである。全体的には「日だまりデザイン」とでも言おうか、ソフトで居心地のいいキャビンを演出している。外観デザインとの整合性や連続感をよく議論の俎上に載せることがあるが、「中はこれでいいじゃないか」と納得させてしまうのである。これがコリアンカー、いやヒョンデのクルマなのだ、と強烈な主張を感じさせてくれるのだ。

 実は日本に未導入だったが、6代目のグレンジャーの後期型デザインや、昨年の11月にグローバルデビューした8代目グレンジャーを見るに付け「ヒョンデ、なかなかやるなぁ」と、そのデザインに監視した覚えがある。そして実際に目の当たりにしたアイオニック5によって「日本車のデザインもボヤッとはしていられない」と強烈の感じたのである。

 一方、走りだが「良くも悪くもBEV的」。強烈なトルクを感じながら、スムーズに低重心の安定感を持って走ることにおいて、ライバルのBEVが持っている味わいと大きくは変わらない。あのポルシェ・タイカンが経験させてくれた「ポルシェならではのBEVの味」みたいなものを感じさせてくれるところにはないと思った。

 だが、みんなBEVとしての走りのフィールにおいては、圧倒的な差を未設受ける事が出来ないのであれば、現状は「デザインで選ぶ」となれる。つまり、ヒョンデ・アイオニック5は、デザインでかなりのアドバンテージを持って登場したことになる。そして国産のBEVも、日産のアリアを除いてと言っておくが、もう少し頑張って欲しいと願うばかりである。

小さな正方形のピクセルピクセルをモチーフにしたLEDの四角いヘッドランプ、そしてフロントグリルなどにより、印象的な表情を完成させている。

リヤコンビランプ、ハイマウントストップランプなどにもピクセルをモチーフにしたデザインが散りばめられている。小さな正方形を並べたデザイン。

エッジの効いた外見から一転、ソフトで柔らかなラインで構成されているインテリア。12.3インチのTFT液晶を2個並べたディスプレイ。ほとんどの情報をこのパネルに表示する。

ドライブモードはスノーモードも含め4つ。日本語表示にも対応している。万が一の災害に備え電気自動車に蓄えた電気を家庭へ供給するシステム「V2H(Vehicle to Home)」に対応。

包まれ感の強いフロントシート。ロングドライブへの体力は未知数だが座り心地は良かった。

ホイールベースが3000mmもあり、前後方向のゆとりは十分に確保されている。

上がライトスイッチとウインカーのレバーはステアリングの右側にある(下のレバーはオートクルーズ用)。左ハンドルの国からの輸入車ではあるが日本のユーザーが使いやすいように輸入車であっても日本向けのローカライズが行われている。

前後方向にリアシートの背もたれを前方に倒すと床の奥行き161cm、左右幅104cmの広くスクエアな荷室が出現。

(価格)
5,990,000円~(ヒョンデ・アイオニック5 ラウンジAWD/税込み)
(スペック)
全長×全幅×全高=4,635×1,890×1,645mm
ホイールベース:3,000mm
車重:2,100kg
最小回転半径:5.99m
最低地上高:160mm
トランスミッション:
駆動方式:4WD
モーター:交流同期電動機
最高出力:225kW(305PS)/2,800~8,600rpm
最大トルク:605N・m(61.7kgf・m)/0~4,000rpm
一充電辺り走行距離:577km(WLTCモード)
問い合わせ先:ヒョンデカスタマーセンター電話:0120-600-066

TEXT:佐藤篤司
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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