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ヒョンデ「IONIQ 5」に乗って気づいた今の日本車に欠けているもの

2023.12.28

 日本での呼び名をヒュンダイから「ヒョンデ(Hyndai)」へと変更し、約12年ぶりに再上陸を果たしたコリアンメーカーが携えてきたのは、電気自動車(以下、BEV)の「アイオニック5」。昨年末に発表された日本カー・オブ・ザ・イヤーで、輸入車の中でもっとも高く評価され「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー」を獲得している。その後、ヒョンデからはひとクラス下の「コナEV」という電動車が追いかけて上陸してきた。より充実してきたヒョンデのラインナップだが、だからこそ話題をリードしているアイオニック5をもう一度走らせてみた。そこにはこれまで我々日本人には見えなかった魅力がたっぷりと詰まっていたのである。

ボディサイドに走るZ型のエッジラインと薄いヘッドライトとフロントマスクがSUVに有りがちな厚ぼったさを中和したデザインとなっている。タイヤは19インチの大径で、安定感のある佇まい。

ブランド再上陸の強力な隠し球の自慢とは?

 12年前、ヒョンデの上級サルーンとして世界で販売されていた「グレンジャー」は、日本にも輸入され、販売が行われていた。しかし、失礼を承知で言えば「敢えて進んで試乗しなければ」と思うほどの存在ではなかった。職業柄マズいとは思ったが「輸入車に乗ることは、その国の文化に乗ること」などと考えているだけに、韓国車に進んで乗る意味を感じてはいなかった。そんなグレンジャーに、初めて触れたのは、日本輸入車組合(JAIA)主催の輸入試乗会において。

 あまり期待せずに乗り込み、走り出してみると「まぁ、乗り心地も悪くないし、スタイルも……。でも敢えて輸入車として買うまではないかもしれない」という感想を抱いた。ごくごく普通のサルーンだった。日本で、というかほぼ都内だったが、個人タクシー仕様のグレンジャーだった。ドッライバーに話を聞くと「安く売っていたし、その割には乗り心地もまぁまぁ。韓国のクルマだから動のということもそれほど多くないし」ということだった。言わば安い割に大きくて多久市で使いやすかった、と言うことだったんである。当然のことながら、ヒョンデはこうしたこともあり、販売台数を伸ばす湖が出来ずに日本市場から撤退したのだ。

 そしていま、再上陸を果たすことになって、どんな作戦で来るのだろうか? と日本の自動車や経済メディアでは話題になった。「またどうせ」などと言った意地の悪い味方をするものもあった。一方で個人的には日本には入っていないが海外で販売台数を伸ばし、ヒョンデ自動車グループの2022年の世界新車販売台数は684万8000台。これはトヨタ自動車グループ(10,483,000台)とドイツのフォルクスワーゲン(VW)グループ(826万2800台)に次いで3位にまで躍進している。この急伸の要因といえば、日本には上陸していないものの、ヒョンデが現在ラインナップしているモデルには、当時と比べようもないほど魅力的なクルマが揃っているからである。海外のモーターショーの情報などを見ると、ハード面での向上はもちろんのこと、デザインが刺激的で、説明の必要なく魅力的だということが理解できるのだ。ある意味、エモーショナルと呼んでいい見た目と、メカニカルな部分での自信を付けたメーカーが、再上陸してくるのであるから、生半可な意気込みではないはず。こうした下地があってのアイオニック5ということになるのだが、とくに写真で確認するよりもさらに魅力的なデザインは、未来的でエモーショナルで、そしてその仕上がりは魅力的だった。

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