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イノベーションを生むのは理系人材だけじゃない!文化人類学を新たなニーズの発見に生かすヒント

2023.12.24PR

対象を全体で捉え、文脈の中で理解し、潜在的な本質を捉えるのが文化人類学の特徴というアイデアファンド社の大川内直子さん。不確実性が高く、予測が困難といわれる時代ゆえ、文化人類学のような文系の専門家が役に立つという。その真意とは?

現在発売中のDIMEでも詳しく解説! 日常の潜在ニーズをあぶり出す「ビジネス文化人類学」とは?

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企業、学校、病院なども調査対象、学生時代に気づいたビジネスの可能性

 文化人類学というと、アマゾンの奥地の少数民族や砂漠の遊牧民を調査するというイメージかもしれません。ですが現在は先進国の現代的な組織、たとえば企業、学校、病院などを研究対象とし、フィールドワークする人もいます。

 とくに、80年代から大学の研究室など科学者のラボも研究対象になっています。科学者って頭が良くて、理性的というイメージですよね。科学的な知識というものは、人間が介在しようがしまいが確固たる真実としてあると感じられるかと思います。

 けれど、教科書に載っているような定説が生まれパラダイムが生まれる背景には、科学者たちが実験をして、ヘンな結果が出たら捨てる、つまり実験結果よりもやり方を疑うということがありうる。科学的な営みには、実は科学者の主観が入り込んでいる場合もあるということです。

 また、他のラボと競争し、先に論文を出すぞ、といった人間らしい社会的なネットワークのなかで、科学的知識は生産されている、とブルーノ・ラトゥール(仏の人類学者、哲学者)が指摘したんですね。それからは、科学者を「社会的な民族」として見る、ちょっと皮肉っぽい研究も盛んになりました。

 生命の起源における自然発生説の否定、つまり無生物から生物は生まれないという、今では周知の真実と認められているものの背景に、どういう論争があったのか。どういう歴史を経たか。教科書に書かれているものはブラックボックスになっていて、通常は開けられないんだけれど、開けてみると面白いんじゃないかという感じです。

 私は、その流れをくむラボラトリー・スタディーズ(ラボスタ)を中心に学び、修士論文では、東大発のベンチャー企業の「ペプチドリーム」社を研究対象にしました。そこの会社を訪問し、どのような発明・発見が、どのようなプロセスで、「科学」から「ビジネス」へと転換していくのかを、企業に直接出入りしながら、観察+インタビューをして研究をまとめたという感じです。

 ただ、企業を調査対象とした人類学の研究は、まだ多くありません。企業を対象にしようとすると、企業秘密とか色々あるので。論文にする前に事前確認が入って、場合によってはほとんど黒塗りになることも。企業の根幹に関わるような調査は好かれないかもしれませんが、企業にとっても自社の企業文化を見つめなおしたり、なぜイノベーションが起きないのかを分析したりするのに大いに役立つと思うんですけどね。

 文化人類学がビジネス領域で活かせると実感を持ったのは、学生時代にGoogleから調査を依頼されたことがきっかけです。その調査テーマは「日本の若者とスマホの関係を知りたい」という抽象的なもので、具体的なリサーチ・クエスチョンや調査のやり方は私たちに任されていました。そういう抽象的な問いにお金を払うのってなかなかできることじゃありません。その時に人類学を社会の中で、ビジネスとして実践する可能性もあるということや、自分の食い扶持くらいは稼げるのでは、という感触を得ました。

 Googleのように膨大なデータを持つ会社って、スマホ利用者のことを何でも知っているように思いますよね。でも、どんな姿勢でスマホを使ってるか、ダラダラと使っているのか、友だちとおしゃべりをしながら使っているのか、それぞれのシーンで使うアプリに違いはあるかといったことはデータからはわからない。だから、依頼があったんだと思います。

 ビッグデータを読み解くとき、私たちの持つ人類学的な知見を活かして得られる、モノそれ自体を使っていないときの行動なども含めてインサイトを得て、それをさらにデータ解析に還元するというアプローチは、いまでも先進的な取り組みだと思います。

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