DENONでアナログプレーヤーの歴史を振り返る
DENONブースに展示されていたのが、ターンテーブルとカートリッジである。もちろん最新モデルの「DP-3000NE」も展示されていたが、創業1910年の同社の歴史を振り返るコーナーが充実していた。1964年にNHKに納入されたMCカートリッジ「DL-301」は試作機から展示。1970年、放送局用ダイレクトドライブプレーヤー「DN-302F」を発売、この年からDenonブランドの使用を開始。1971年に業務用のターンテーブル「DF-302F」を民生用にカスタマイズした「DP5000」を発売。起動時間以外は放送局用としても使える高性能モデルだった。1981年に発売されたハイエンドモデル「DP-100M」も展示された。
ダイレクトドライブをSV-PWMと呼ばれる方式で回転制御する「DP-3000NE」はカートリッジレスで38万5000円のハイエンドモデル
トーンアームも新設計、スタティックバランスS字型で高さ調整機能も備えている。16gまでのカートリッジに対応し、サブウエイトを使えば26gまで使える
日本の放送局の90%以上で使われていた業務用の「DN-302F」はフォノイコライザー内蔵、スピーカー、ヘッドホン出力も付いていた。起動時間はわずか0.2秒と現代でも驚くべきトルクを誇る
コンソール型の「DN-302F」に搭載されていたターンテーブルを民生用にしたのが「DP5000」である。大型の操作ボタンがプロっぽかった
DL-103はFMステレオ放送用としてNHKと共同開発したMC型カートリッジで1964年に初号機が完成。今もなお現役カートリッジとして発売されている超ロングセラーモデルで、DENONの原器とも言える
「DP-100M」はDP-100にトーンアームを加えたモデルで受注生産で90万円というハイエンドモデル。起動時間は0.4秒、トーンアームはストレート型だが、S字型アームパイプに交換することで一般のヘッドシェルにも対応した。重さ約46kg
写真・文/ゴン川野