気になる走り、乗り心地は?
運転席に座り、ポジションを決める。メーターはノーマルモードをスポーツモードではレイアウトが変わるスポーツモードはエンジン回転計が大径になり、目の前に表示される。8000回転スケールでレッドゾーンは、スポーツモードは7000回転から、ノーマルモードは6000回転からだ。
反発力の強いクラッチを合わせてスタートする。5000回転を目安に加速すると、1速45km/h、2速70km/h、3速で110km/hに達する。100km/hの巡航は、5速2500回転だ。スポーツモードを選択すると、3000回転からトルクがグンッと太くなるのがわかる。ハンドリングはノーマルモードでもやや重めの操舵力。コーナーでの切りこみでは、直進に戻ろうとする抵抗が強めだった。
乗り心地も低速ではゴツゴツ感があり、60km/hあたりでは上下方向に短くヒョコヒョコとした動きも加わった。スポーツモードに切り替えると同時に、左右タテ2本出しマフラーからの音が変わる。低く響く力強い音質だ。加速も全域で、軽く、速くなっている。ハンドルはさらに重い。直進からの切りこみも、コーナーでの動きも、切りこんだときの反応は素早く、リニアだが直進への戻しも強く、ドライバーはその動きと戦力がなければならない。
さらに乗り心地も硬く、路面状況によってはハネ気味になった。高速でも硬めの感じは続いていた。走行中に気になったのは、ダッシュボード中央に設置されているターボのブースト圧計。これはメーターパネル内に組みこまれていてもよいのではないだろうか。一般道走行中には目障りな存在だった。
WRCを制した世界695台限定モデルは、日本に200台(右ハンドル100台、左ハンドル100台)で517万円で販売される。ボディカラーはブルーを基調にルーフ、リップスポイラー、フェンダーアーチ、サイドスカートをブラック仕上げとした2トーンカラーだが、131 Rallyが活躍した当時を知るマニアは、ホワイトにレッド、グリーンストライプのアリタリアカラーのほうが懐かしかったかもしれない。
■関連情報
https://www.abarth.jp/695_turismo/
文/石川真禧照 撮影/萩原文博