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働きやすさだけでは物足りない!?若手が伸びる職場の共通点

2023.12.19

近年、働き方改革の成果で残業時間が減り、有給休暇が取得しやすくなるなど、業界・業種を問わず就業環境は改善傾向にある。

長時間労働が常態化していた世代にとっては、プライベートとの両立も可能な「働きやすい」職場環境に変わりつつあることへの実感が大きいのではないだろうか。

一方、若手を中心に、働きやすさは感じるものの、成長実感を得ることができず、離職を考えるきっかけにもなる「ゆるブラック」といった言葉も聞かれるようになった。

実際に、OpenWorkの会社評価レポートに投稿された8つの評価項目の平均スコアの推移を見ると、2014年以降の10年間で、「20代成長環境」スコアが唯一下降(※)している。
(※)「20代成長環境」の平均スコアは、2014年の3.07点から2023年(10月末まで)に2.95点に下降

そこでOpenWorkは、20代による会社評価レポートを対象に、2019年と2023年(10月31日まで)との比較で「20代成長環境」スコアの上昇幅が大きい企業をランキング化。

社会全体の傾向とは反対に、成長環境への評価を上げた企業に着目することで、成長を実感できる職場の共通点や特徴を若手の視点から探ったので、詳細をお伝えしよう。

TOP20社の「20代成長環境」スコア平均は2019年から上昇!「働きやすい」だけでは物足りない?若手が伸びる職場の共通点とは

20代の現職社員が「成長環境がある」と評価した企業のスコア上昇幅を集計した本ランキング。

2019年から2023年の約5年間で、最もスコアを上げたのは外資系コンサルティング大手のEYストラテジー・アンド・コンサルティングで、2位は中古住宅のリフォーム・販売を手掛けるカチタス、3位は電通という結果となった。

業界別では上位20社のうち、「メーカー・商社」が最多7社。「IT・通信・インターネット」「サービス、小売、外食」などからもランクインし、業界や規模を問わず多様な企業が並んだ。

上位20社の「20代成長環境」スコア平均を見ると、3.33点(2019年)から4.01点(2023年)に上昇。企業ごとでは、半数の10社が4.0点を超える結果(2023年のスコア)となっている。

「20代成長環境」スコアが上昇した企業には、どのような理由や要因があるのだろうか。次項では、ランクイン企業で実際に働く社員が投稿したクチコミから見えてきた、大きく2つの共通点について考察した。

学習機会や充実した研修を評価する声が増加し、人事制度の改革や年功序列からの脱却に取り組む企業が多くランクイン

ランクインした企業に寄せられた近年のクチコミに共通しているのは、自社の人材育成に関する仕組みや人事制度の変更を評価する声が増えた点だ。

研修機会が豊富にあり、本人の希望や適性に応じた社内異動が可能であること、従来の年功序列から脱却しつつあり、若手に活躍のチャンスが広がることを評価する声が見られた。

労働市場の流動化により、一つの会社に長く勤める時代は変わりつつあり、若手が切り開こうとする「キャリア」には、自社でのステップアップだけでなく、いずれ転職するという選択肢があると考えられる。

業務を通じて身につく範囲にとどまらず、早いうちから自社の外でも通用する汎用性の高いスキルや知識を得たいと考える若手にとって、学習や活躍の機会が豊富にあることは成長を実感できる環境である、と言えるのではないだろうか。

■ランクイン企業の社員がOpenWorkに投稿した「人材育成の仕組みや制度」に関する社員クチコミ

「パフォーマンスの指標として、2020年より日本独自の取り組みとしてスキルチェックシートが導入されている。従業員すべての職階について、必要なスキルが具体的な行動レベルで示されている(コンサルタント、現職、男性、EYストラテジー・アンド・コンサルティング)」

「ノウハウやナレッジ共有の仕組みを構築し、社員の意識改善を少しずつ進めている。また、人事制度改革を通して、人材の流動性を高め、個人の希望と適正を踏まえながら、全社最適な人材配置を試みようとしている(プランナー、現職、男性、電通)」

「ありとあらゆる自己研鑽機会が提供される。資格取得については大抵のものが受講費、受験料が会社負担となる。資格の難易度に応じて報奨金も支給される。ただし、これはどこの会社でも同様だが、機会を活かすかどうかは社員の自主性に委ねられる(営業、現職、男性、三井住友ファイナンス&リース)」

「最近は社内の異動も流動化しつつあり、キャリア開発については年々制度が整ってきていると感じる(コーポレート、現職、女性、三菱商事)」

「若手にもチャンスが与えられる環境はあり、加えて加速的に年功序列文化からの脱却を目指していることから、今後入社される若手にはより機会があると思われる(営業、現職、男性、住友商事)」

「1on1を試験的に実施している部署もあり、上司のコーチングを受けながらいっしょにキャリア形成を考えていく環境がある(研究、現職、男性、富士フイルム)」

コロナ禍に甘んじずコミュニケーションを怠らなかった企業が高評価。こまめな面談やフィードバックで若手の成長を引き出す

クチコミから見る共通点の2つ目は、自社の強みとして、事業が好調であることを挙げたうえで、上司や経営層と緊密にコミュニケーションが取れていることを評価する声が多く見られた点。

こうした企業には、新しい仕事にチャレンジできる機会が豊富であることがうかがえるが、クチコミからは、上司から一方的に仕事を与えるのではなく、こまめな面談や適切なフィードバックを通じて、社員が自身に与えられる役割や評価に納得することが成長の実感につながっている様子がうかがえる。

今回のランキングで集計対象とした2019~2023年は、コロナ禍でリモートワークが増えるなど働く環境に大きな変化があった。

コロナ禍という未曽有の危機のなかで仕事を覚えなければならなかった若手にとって、前例のない厳しい環境だったのではないだろうか。

実際に、集計対象期間に投稿されたクチコミにも「リモート環境が進み、受け身な人は孤立してしまう」「顧客と対面での会話の機会が減り、自分の仕事がどのような結果をもたしているのか想像しづらい」といった声が寄せられていた。

そのような環境のなか、「20代成長環境」の評価を上げた企業は変化に柔軟に対応しながら、コロナ禍に甘んじず社員とのコミュニケーションを怠らなかったことが、若手の成長を引き出したと考えられる。

リモートワークの導入や定着により、働く環境の選択肢が増え、「働きやすくなった」と感じる人は多いのではないだろうか。

こうしたメリットは保ちつつ、若手社員に対しては、さまざまな仕事への挑戦や自己研鑽の機会の提供、上司や先輩社員に気軽に相談できる環境づくりが一層求められていると言えそうだ。

■ランクイン企業の社員がOpenWorkに投稿した「社内コミュニケーションと成長実感」に関する社員クチコミ

「営業なので、評価制度では数字はもちろん見られる。ただ数字だけではなく、月1回上長との面談を通じて、成果を日々どういうプロセスで導き出したのかも見てもらえるので結果につながらなかったときも、しっかりプロセスを評価してもらえる(営業、現職、男性、カチタス)」

「会社は成長を続けており、ポストも次々生まれるので、次々新しいチャレンジをする環境は整っている。毎年二度の上司との面談を通じて、自分の成長の方向性とスピード感を確認し、それに見合った役割を担えるように可能な限り調整してくれるので、納得感のある成長をすることはできる(コンサルタント、現職、男性、シンプレクス)」

「定期的に上司とコミュニケーションをとっており、自身の取り組みに対して適切にフィードバックをもらえるため、取り組んだことに対してきちんと評価される仕組みにある。中長期的なキャリアパスを上司とともに考え、そこに向けて一つ一つ取り組むことで、次のステップに行くことができる体制にある(資産運用管理、現職、男性、プルデンシャル生命保険)」

対象データ
OpenWorkに2019年1月から2023年10月の間に投稿された、20代の現職社員による会社評価レポート19,240件を集計。

関連情報
https://www.openwork.jp/hatarakigai/

構成/Ara

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