電通デジタルは、インクルーシブ視点で全ての生活者にとって価値ある新規プロダクトの開発を支援する「インクルーシブデザインソリューション」の提供を開始した。
リードユーザーと一貫した共創で新たなイノベーションを創発
高齢化社会の進行や障害者差別解消法の改定などを背景にSDGs時代における多様なニーズが顕在化するなか、国内の各企業は多様性への対応に迫られている。
また、海外の大手テック企業によるインクルーシブなプロダクト開発とその成功も後押しし、これまでデザインプロセスの対象から見過ごされていた人々を上流から巻き込むアプローチである「インクルーシブデザイン」が大きな注目を集めている。
しかし、従来のプロセスでは、リサーチやテストなど決まった工程のみでマイノリティの人々の意見を聞くことに終始してしまい、彼らの持つ新しい視点や異なるニーズを取り入れることが難しく、結果として、既存プロダクトの改善に留まり、革新的なアイデアや新しい市場の創出に繋がらないという課題を抱えている。
↑従来のデザインプロセスと本インクルーシブデザインプロセスとの違い
こうした背景から、同社は、マイノリティの人々なかでも自身の生活のなかで生じる課題意識と新しい視点を持つ存在を“リードユーザー”として定め、彼らをプロジェクトメンバーとしてリクルーティングし、プロセス全体で共に新たなイノベーションを創発するソリューションを提供。
多数派の視点からは気付けない潜在的なインサイトを基点に課題抽出とアイデア発想を行なうことで、本質的な問題の改善と新たな価値創造へ繋げ、一部が取り残されないだけでなく全ての生活者にとって価値のあるプロダクトを生み出すとし、この構想から開発、運用までのプロセスを、同社のDXコンサルティングの豊富な実績とco-design(参加型デザイン手法)の専門性を活かし一気通貫でサポートする。
<問題定義フェーズ>
(1)リサーチ・課題抽出
見過ごされてきたユーザーはいないか、リードユーザーと共にインクルーシブ視点で課題を抽出する。
手法:インタビュー、エスノグラフィ※1、ペルソナ/カスタマージャーニー
(2)アイデア発想・課題の絞り込み
Co-designのアプローチで、リードユーザーとワンストップで共創する「ワークショップ」を設計、フィールドワークや実体験から本質的な課題に気付く課題の特定・アイデア発想を支援する。
手法:ワークショップ、ストーリーボード※2、サービスブループリント※3
<問題解決フェーズ>
(3)プロトタイピイング
ワークショップから抽出されたインサイトをもとにプロトタイプを制作し、リードユーザーへのテストを行なう。
手法:ストーリーマッピング※4、機能検討、ワイヤーフレーム
(4)デザイン検証・開発
プロダクトのローンチに向け、デザインにリードユーザーのニーズが反映されているかチェックし、UI/UXデザイン、ガイドラインを策定する。
手法:UI/UXデザイン、ガイドライン化
<運用フェーズ>
(5)運用支援
ローンチ後も、ユーザーからのフィードバックをインクルーシブ観点で取り込み、段階的なグロースに向けて改善案を立案する。
※1:ユーザーの行動を現場で観察し、リアルな洞察を得てプロダクトの改善に活用する手法。現地調査を通じた深いユーザー理解が特徴。
※2:シナリオを視覚的に描写し、ユーザーのストーリーを表現。ユーザー視点からプロダクトデザインの方向性を確認する効果的な手法。
※3:プロダクトがユーザーに提供されるプロセスを把握し、プロダクト全体の理解を深める手法。ユーザーの行動(発注、問い合わせなど)とそれに伴うバックエンドの活動(発送処理、カスタマーセンターなど)を具体的に示す。
※4:プロダクト機能の整理と優先順位付けを行い、開発プロセスを視覚的に表現。関係者間で全体像を共有し、プロダクト開発を促進する。
関連情報
https://www.dentsudigital.co.jp/
構成/立原尚子