インフキュリオンは全国の16歳〜69歳男女5000人を対象に「決済動向2023年下期調査」を実施。回答結果をグラフにまとめて発表した。
約4人に1人が「物価高対策にポイントアプリを利用」
<図1>
「物価上昇をきっかけとしてあなた自身が新しく利用を始めたものはありますか」という質問に対し、物価高対策にポイントアプリの利用を始めた人は約4人に1人(24%)、コード決済アプリの利用を始めた人は約6人に1人(17%)の結果になった<図1>。
日本では従来から、購入金額に応じてポイントや特典を受け取ることができるポイントアプリの提供が盛んだ。今回の調査で、最近の物価高がポイントアプリへの関心をさらに高めていることが確認できた。
事業者にとってもポイントアプリは、クーポン配布等の来店促進策や、自社独自のコード決済による決済手数料の削減といった様々な施策の土台にもなり得る。レジでアプリ画面を提示することに慣れた消費者層が拡大している中、新たな顧客接点として重要度を増していくと考えられる。
地域限定」の金融サービスに焦点を絞り、ポイント還元やキャッシュバック特典がある地域限定アプリ/サービス、デジタル商品券、デジタル通貨に関する利用意向に関する質問では、それぞれ5割を超える利用意向が見られた。
中でも地域限定アプリ/サービスでは「機会があれば利用したい」との回答が74%にも上りました<図2>。一方で、地域限定アプリ/サービス、デジタル商品券、デジタル通貨のいずれも「利用未経験であるが、機会があれば利用したい」とする回答者がもっとも多い結果となった。
<図2>
地域限定の金融サービスの利用経験者割合はまだ小さく、これらのサービスの提供と利用は限定的だ。
一方で、利用経験者・非経験者とも利用意向が高いことを鑑みると、これらのサービスは自治体にとって地産地消や地域振興の一手となる可能性がある。
■コード決済の利用率が68%、税金の支払いなど利用場面も多様化
<図3>
「決済カードや決済アプリの中で、あなたが利用しているものを全てお答えください」という質問に対し、全回答者に占めるコード決済アプリ利用者の割合は68%となり、2015年の調査開始以降の最高値を続伸する結果になった<図3>
<図4>
利用場面ではコンビニ(77%)やスーパー(59%)、ドラッグストア(48%)がトップ3の利用率となる中、百貨店・ショッピングセンターでの利用も約3割(29%)、税金支払いでの利用も約1割(10%)に達している。<図4>。
コード決済は日用品など比較的単価の低い買い物での利用がメインと考えられてきた。しかし今回の調査では、比較的単価が高いと考えられる百貨店・ショッピングセンターや税金の支払いへも利用が拡大していることが確認できた。
単価を問わず、利用できるところではできるだけ利用するという行動変化が進行している。「キャッシュレス決済利用者の約4割はキャッシュレスが使えない店舗は避ける」という経済産業省の調査結果を踏まえると、コード決済をメインの決済手段としている層にとって、コード決済への対応の有無が買い物先の選択において重みを増していくことが予想される。
事業者は、コード決済などキャッシュレス決済について、機会損失の観点からも導入の要否を判断すべき段階にきている。