こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。
今回お届けするテーマは【どんなヘマをしたら退職金を削られるのか?】です。
こんなヘマは危険!退職金を削られた事例
実は、こんなヘマをすると退職金をもらえないおそれがあります。以下は、退職金ゼロとなった絶望ケースです。
■ 同業他社へ転職したケース
福井新聞社事件:福井地裁 S62.6.19
裁判所は「会社の都合をかえりみず退職し、会社の業務に著しい障害を与えた」と判断。
※ 同業他社に転職する=退職金がでない【わけではありません】。悪質性が検討されます。
■ 横領や背任にあたりうるケース
トヨタ車体事件:名古屋地裁 H15.9.30
取引先に圧力をかけて1800円超を受け取った。
■ セクハラなどを継続的に行ったケース
山口地裁 H23.2.16
■ 顧客を奪ったケース
イーライア事件 東京地裁 H25.2.28
競合他社から報酬を受け取って業務を行い会社の顧客を奪うことに加担。
■ 強盗事件を起こしたケース
中日本ハイウェイ・パトロール事件:東京地裁 H26.11.14
チョー不義理なことをすれば裁判所は「退職金ゼロでもOK」と判断します。くわしくは後述。
多くの会社にある退職金のルール
多くの会社の就業規則には退職金について規定されています(別途、退職金規程がある会社もあります)。以下は厚生労働省「モデル就業規則」です。
第●条
勤続●年以上の労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続●年未満の者には退職金を支給しない。また、懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。
第●条
退職金の額は、退職又は解雇の時の基本給の額に、勤続年数に応じて定めた 下表の支給率を乗じた金額とする。
多いのは、会社が社員を懲戒解雇した際に、「退職金は支払わない!」と判断するパターンです。