「バスは自由だ!」運転士不足の危機に立ち向かう新潟交通の信念
幼い頃、大きなハンドルを操り、巨大なクルマを華麗に乗りこなすバス運転士に憧れたものだが、近年、運転手不足による路線の廃止や減便が続いている。
株式会社帝国データバンクの調査によると、コロナ以前から運転士の減少が顕著に現れており、路線バスの8割が2023年に「減便・廃止」を実施したという。
原因は運転手の高齢化や人手不足により対応が限界になったこと。また、ドライバーの時間外労働に上限が課される「2024年問題」に対応するため、ダイヤ改正を行ったケースなど。他業種に比べて給与水準が低いことも一因だとか。
参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000776.000043465.html
そんな状況を打破しようという想いも、この「こども運転席」には込められている。
山田さん「たしかに運転士不足は大きな問題で、現状弊社でも休日出勤や時間外勤務などでダイヤを埋めている状況です。もちろん、環境面や待遇面の整備はもちろんですが、我々はバス運転業務の魅力を伝えることが大きな使命だと思っております。そのため、これまでも様々な取り組みを行ってきました」
そんな新潟交通が行ってきた企画の一部を紹介すると……。
【こどもデザインラッピングバス】
「理想のまち・夢のまち・ニイガタ」をテーマに、新潟県内の小学生からラッピングバスのデザイン案を募集。グランプリを始めとするデザインがラッピングされた路線バスが実際に新潟市内を走っている。
【りゅ〜とランド】
こども向けキッズサイト。バスや運転士の仕事についてかわいいイラストなどで分かりやすく説明されている。塗り絵やペーパークラフトなどで楽しく学べるサイトだ。
【万代シテイバスまつり】
2000年より毎年9月に開催されていた一大イベントが今年4年ぶりに復活。
山田さん「バスに対してより親しみを感じて頂くことを目的に公共交通機関としての重要性を強くアピールすることで利用促進に繋げるイベントです。今年度は既存バスファンの皆様はもちろん、体験型コンテンツを増やしファミリー層を中心としたライトなバスファンでも楽しめるイベントとして開催しました」
新潟交通が行なっている企画はどれも「バスそのものの魅力」「バスへの興味」を抱いてもらうためのものばかり。こうした地道な活動がそのうちとんでもない実を結ぶのかもしれない。
最後に「山田さんご自身が思うバスの魅力」についてお聞きした。
「バスは自由です。バスは道路があれば走れます。様々なニーズや環境に柔軟に対応でき、路線を自由に描けることはバス事業の醍醐味とも言えると思います。また鉄道に比べ、停留所間隔が短いため、移動手段として気軽にご利用いただけます。お近くの停留所から、ぜひ、バスをご利用ください。バスの魅力を再確認していただけると嬉しいです」
取材協力:新潟交通
文/太田ポーシャ