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「ご教授」と「ご教示」意味はどう違う?

2024.01.07

仕事やビジネスでよく使われる『ご教授』。似た言葉に『ご教示』があり、使い分けが難しい敬語の一種です。

それぞれの意味を正しく理解し、相手や場面に応じて適切に使いましょう。また『ご教授ください』という表現がNGである理由や丁寧に依頼するためのポイントも解説します。

そもそも「ご教授」とは?

『教』の字が使われている通り、『ご教授(ごきょうじゅ)』や『ご教示(ごきょうじ)』は教えることに関連します。両者の意味や使い方の違いについて理解を深めましょう。

■「ご教授」の意味

ご教授の『教授』は、専門的な知識・技術・芸術・芸事などを教え授けることです。接頭辞の『ご』が付くと、相手を敬う敬語表現になります。『教』と『授』には、それぞれにどのような意味があるのでしょうか。

  • 教:神や上位の人が導く・知識や常識を知らせる・技芸などを伝授する
  • 授:目上の者から目下の者に物を与える・官位や称号を与える・師が弟子に教え伝える

漢字の意味からも分かるように、教授は目上の者から目下の者に教え授けるニュアンスがあります。主に教育機関や研究機関などで用いられる役職としての『教授』と同義であり、継続的かつ組織的に教える際に使われることが多いでしょう。

■「ご教示」との違い

一方、『教示』は、知識・情報・手法などを人に教え示すことです。『示』には、示す・指し示す・教えるという意味があります。

『教授』は、学問や技能などを教え授けてもらう際に使いますが、『ご教示』は自分よりも知識が豊富な人に対して分からないことを質問したり、アドバイスを求めたりする際に使うのが通常です。

仕事やビジネスでは、作業の手順・操作方法・書類の作成方法・在庫状況・スケジュールなどが教示の対象となるでしょう。教えるのに長い期間を要するものではなく、比較的短時間で解決できる内容がほとんどです。

「ご教授」と「ご教示」の使い分け方・例文

タイピング

(出典) pixta.jp

『ご教授』と『ご教示』は、使えるシーンが異なります。本来、ご教示を使うところでご教授を使えば、話が大きくなりすぎる可能性もあります。例文を挙げ、正しい使い方や両者の使い分けを解説します。

■専門的な知識を乞う際は「ご教授」

『ご教授』は、専門的な知識を学びたい場合や、長年のノウハウを伝授してもらいたい場合に使います。先生・医師・弁護士・研究者・芸術家など、一定の地位がある相手と長期的な関係性を構築するケースが多いため、失礼のない表現を心掛ける必要があるでしょう。

<例文>

  • 先生の専門分野である遺伝子学に深い関心があります。現代のゲノム研究の潮流について、ご教授いただけますと幸いです
  • 可能であれば、貴社のノウハウをご教授くださいませんでしょうか
  • 山田様にご教授いただいたおかげで、〇〇の商品化が実現しました。心から感謝を申し上げます

■ビジネスで使いやすいのは「ご教示」

仕事やビジネスでよく活用されるのは『ご教示』です。上司や先輩に仕事のやり方を聞くときや、指導をお願いしたいときには、『~いただけませんでしょうか』『~いただきたく存じます』などの言い回しを使います。

<例文>

  • 生産管理システムの操作方法をご教示いただきたく存じます
  • 先方にお送りする資料の内容について、ご教示いただいてもよろしいでしょうか
  • 先日の会議で、田中部長より改善すべき点をご教示いただきました。皆さまにも共有いたします

    「ご教授」を使う際の注意点は?

    メールを打つ

    (出典) pixta.jp

    敬語は使い方を間違えると、敬意が伝わらなかったり、自分の知識のなさを露呈したりする結果につながります。『ご教授』『ご教示』を使う際はどのような点に注意すればよいのでしょうか?

    ■基本的に会話では使わない

    どちらもメールや手紙で使われる『書き言葉』であり、会話で使うと相手に硬い印象を与えます。普段は、以下のような表現を使う方が望ましいでしょう。

    <例文>

    • 作業の進め方について教えていただけますでしょうか
    • 会議の詳細をお聞かせいただけますか
    • この度は〇〇についてご指導いただき、誠にありがとうございました。

    会話では使わないのが基本ですが、相手を敬う気持ちを示したい場合や大勢の前であいさつをする場合は、ご教授やご教示を使っても問題はありません。改まった言い方によって、相手に真面目さや誠実さを伝えられます。

    ■ご教授・ご教示「ください」は丁寧さに欠ける

    『ご教授(ご教示)ください』は、間違った表現ではありませんが、言葉遣いとしては丁寧さに欠けます。『ください』は『くださる』の命令形であるため、上から目線の強引な印象を与えかねません。以下のように言い換えると、相手に敬意が伝わります。

    • ご教授(ご教示)いただけますでしょうか
    • ご教授(ご教示)いただけますと幸いです
    • ご教授(ご教示)いただきたく存じます
    • ご教授(ご教示)くださいますようお願い申し上げます
    • ご教授(ご教示)賜りますよう、よろしくお願い申し上げます

    さらに、『恐れ入りますが』『ご多忙中とは存じますが』『もし可能であれば』『お手数ですが』などのクッション言葉を添えると、より柔らかい印象になります。

    ■「享受」との間違いに注意

    『享受(きょうじゅ)』は、教授の同音異義語です。意味が全く異なるため、文字の誤変換にはくれぐれも注意しましょう。享受には、利点・恩恵・施しなど『自分にとって望ましいもの』を受ける・味わう・楽しむという意味があります。

    <例文>

    • デジタルリテラシーが低いと、ICTの恩恵を十分に享受できない
    • 最大限のメリットを享受するには、環境の整備が必要だ
    • 部長の職を謹んで享受いたします。会社の発展に力を尽くしてまいりますので、ご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます

    構成/編集部

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