目次
Excelのセル内で改行をしたい場面は、住所を「都道府県」と「市区町村」で区切りたいとき、1セルに複数の項目を箇条書きのように並べたいときなど、ビジネスの現場で頻繁に発生します。ところが、Wordのように[Enter]キーを押すだけでは下のセルにカーソルが移動してしまい、思うように改行できません。本記事では、Windows・Mac・Web版・iPadそれぞれでのセル内改行の操作方法から、CHAR関数やTEXTJOIN関数を使った数式内での改行、改行の一括削除、改行できないときの対処法、CSV書き出し時のトラブル対策までを、Microsoft公式情報を踏まえて網羅的に解説します。Microsoft 365、Excel 2021、Excel for the web、iPad版いずれにも対応しています。
Excelでセル内に改行を入れる基本ショートカット(Windows/Mac/Web版)
セル内に任意の位置で改行を入れる方法は、利用環境ごとにショートカットキーが異なります。Windows・Mac・Web版・iPadそれぞれの操作を順に確認していきましょう。
(参考:Microsoft公式「Excel のセル内で新しいテキスト行を開始する」)
Windows版のショートカット([Alt]+[Enter])
Windows版Excelでセル内改行を行う基本ショートカットは[Alt]+[Enter]です。手順は以下のとおりです。
- 改行を入れたいセルをダブルクリックして編集モードにする(またはセルを選択して[F2]キーを押す)
- 改行したい位置にカーソルを移動する
- [Alt]キーを押しながら[Enter]キーを押す
- [Enter]キーで確定する

Mac版のショートカット(3パターンを併記)
Mac版Excelの場合、利用しているExcelのバージョンによって有効なショートカットが異なります。Microsoft公式サポートでは[Control]+[Option]+[Return]が案内されており、新しいバージョンではこれに加えて[Option]+[Return]や[Command]+[Option]+[Return]も動作します。一方が反応しない場合は、もう一方を試してみましょう。
- [Control]+[Option]+[Return]:Microsoft公式が案内する標準ショートカット
- [Option]+[Return]:新しいバージョンのExcel for Macで動作する簡易ショートカット
- [Command]+[Option]+[Return]:旧バージョンのExcel for Macで必要となるショートカット
Macでは日本語IME(かな入力など)が有効なときに[Return]キーが「変換確定」として処理され、改行が入らないケースも見られます。改行が反応しない場合は、一度英数モードに切り替えてから操作してみてください。
Web版Excel(Excel for the web)での操作
ブラウザで利用するExcel for the web(無料のWeb版Excel)でも、セル内改行は可能です。Windowsの場合は[Alt]+[Enter]、Macの場合は[Control]+[Option]+[Return]を使用します。
ただし、Web版Excelには制約があります。Microsoft公式によれば、Web版で利用できるCHAR関数の引数は「CHAR(9)、CHAR(10)、CHAR(13)、CHAR(32)以上のみ」となっており、デスクトップ版と完全に同一の挙動とはなりません。複雑な数式を含むブックを編集する際は、デスクトップ版の利用をおすすめします。
iPad・スマートフォン版での改行
iPadやスマートフォン版のExcelアプリでも、セル内改行ができます。
- 改行したいセルをタップして選択する
- もう一度タップして編集モードにする
- 改行したい位置を長押しして、表示されるメニューから「改行」を選択する
- または、画面上のキーボードに表示される改行ボタン(↵)をタップする
物理キーボードを接続しているiPadの場合は、[Option]+[Return]でも改行を挿入できます。
エクセルのセル幅に合わせて自動で改行する「折り返して全体を表示」
「折り返して全体を表示」は、セルに入力した文字列が列幅を超えたときに、自動的に複数行に折り返して表示する機能です。Microsoft公式では、セルの書式を設定することでテキストを自動的に折り返したり、手動で改行を入力したりできると案内されています。
[Alt]+[Enter]による手動改行と「折り返して全体を表示」による自動折り返しは、似ているようで挙動が異なります。前者は文字列の中に改行コードを埋め込む操作、後者はセルの表示書式として折り返しを有効化する操作です。両者は併用できます。表全体の見栄えを整えたい場合は、列幅・行高の調整とあわせて活用するとよいでしょう。
(参考:Microsoft公式「Excel のセルでテキストを折り返す」)
「折り返して全体を表示」ボタンで設定する
リボンのボタンを使うやり方が最もシンプルです。
- 折り返したいセル(または範囲)を選択する
- [ホーム]タブを開く
- [配置]グループにある[折り返して全体を表示する]ボタンをクリックする

書式設定ダイアログから設定する
書式設定ダイアログから設定する方法は以下のとおりです。複数の書式をまとめて設定したいときに便利です。
- 設定したいセルを右クリックする
- [セルの書式設定]を選択する
- [配置]タブを開く
- [文字の制御]の[折り返して全体を表示する]にチェックを入れる
- [OK]をクリックする
アクセスキー(Alt→H→W)で設定する
Windows版Excelでは、アクセスキーを使ったキーボード操作だけでも「折り返して全体を表示」を有効にできます。マウスを使わずに作業を完結させたい方におすすめです。
- 設定したいセルを選択する
- [Alt]キーを一度押す(リボンにアクセスキーのガイドが表示される)
- [H]キーを押して[ホーム]タブに移動する
- [W]キーを押して[折り返して全体を表示する]を有効にする
[Alt]→[H]→[W]は同時押しではなく、順番に押すショートカットである点に注意が必要です。
折り返した文字列が全部表示されないときは行の高さを自動調整
折り返し設定をしたのに、文字列が途中で切れて表示されることがあります。これは行の高さが固定されていることが原因です。Microsoft公式では、行を自動的に調整して折り返された文字列全体を表示するには、[書式]メニューの[行]から[自動サイズ調整]をクリックすると案内されています。
Windows版では、行番号の境界線をダブルクリックすることで、行の高さが内容に合わせて自動調整されます。
エクセルにおいて関数で改行を入れる方法と注意点
複数のセルの値を結合して1つのセルに表示する際、結合結果を改行で区切りたいケースがあります。この用途で使うのがCHAR関数とTEXTJOIN関数です。ただし、関数で改行を入れる場合は「折り返して全体を表示」の設定が必須になる重要な注意点があります。
CHAR関数で改行を挿入する
CHAR関数は、引数に指定した文字コードに対応する文字を返す関数です。書式は「=CHAR(数値)」で、改行を表すコード番号は「10」です。Microsoft公式によれば、CHAR(10)は改行(LF:Line Feed)に該当します。
文字列を結合しながら改行を入れたい場合は、文字列連結演算子「&」と組み合わせて使います。
=A1&CHAR(10)&B1
この式は、A1セルとB1セルの内容をCHAR(10)(改行)で区切って結合します。たとえばA1に「東京都新宿区」、B1に「西新宿1-2-3」と入力されている場合、結果は1つのセル内に2行で表示されます。
(参考:Microsoft公式「CHAR 関数」)

TEXTJOIN関数で複数セルを改行で結合する
TEXTJOIN関数は、複数のセルや範囲を指定した区切り文字で連結できる関数です。区切り文字にCHAR(10)を指定すれば、改行で区切って結合できます。書式は次のとおりです。
=TEXTJOIN(区切り文字, 空白セルを無視するか, 文字列1, [文字列2], …)
改行で結合する具体例は以下のとおりです。
=TEXTJOIN(CHAR(10),TRUE,A1:A5)
この式は、A1からA5の各セルの値を改行で区切って1つのセル内にまとめて表示します。第2引数の「TRUE」は空白セルを無視する指定で、空のセルを飛ばして詰めて結合します。「FALSE」を指定すると空白セルも改行として扱われ、結果に空行が含まれる点に注意してください。
(参考:Microsoft公式「TEXT 関数」)

関数で改行する場合は「折り返して全体を表示」が必須
CHAR関数やTEXTJOIN関数で改行コードを挿入しても、対象セルに「折り返して全体を表示」が設定されていないと、改行は表示上反映されません。Microsoft公式のTEXT関数解説でも、改行を表示するには[セルの書式設定]ダイアログで[テキストの折り返し]オプションをチェックする必要があると明記されています。
関数で改行を入れたあとに「数式上は改行コードが入っているはずなのに、画面では1行で表示されてしまう」というトラブルが起きた場合は、まず該当セルに「折り返して全体を表示」が設定されているかを確認してください。
なお、[Alt]+[Enter]による手動改行は、改行を入れた時点でセルに自動的に「折り返して全体を表示」が適用されます。手動と関数で挙動が異なる点を覚えておきましょう。
エクセルでセル内の改行を削除・解除する方法
既存の改行を削除する方法は、対象が1〜2セルか大量のセルかによって最適な手段が変わります。少数なら手動削除、大量なら検索置換または関数を使い分けるのが効率的です。
1つずつ削除する([Delete]/[Backspace])
削除したい改行が少数の場合は、手作業で削除するのが最速です。Windows・Macとも同様の操作で削除できます。
- 改行が含まれるセルをダブルクリックして編集モードにする
- 改行された行の先頭にカーソルを合わせる
- [Backspace]キー(Macは[delete]キー)を押す
- 改行が削除され、前の行と結合される
[Delete]キーを使う場合は、改行された行の前の行末にカーソルを置いてから押します。
検索と置換([Ctrl]+[J])で一括削除する
大量のセルに含まれる改行を一括で削除したい場合は、「検索と置換」機能が最も効率的です。
- 改行を削除したい範囲を選択する(シート全体を対象にする場合は何も選択しない)
- [Ctrl]+[H]キーを押して[検索と置換]ダイアログを開く
- [検索する文字列]欄にカーソルを置き、[Ctrl]+[J]キーを押す(画面上は変化がないように見えるが、改行コードが入力されている)
- [置換後の文字列]欄は空欄のままにする
- [すべて置換]をクリックする

Macの場合は[Command]+[H]で検索と置換を呼び出し、検索する文字列欄で[Control]+[J]を押すと同様に動作します。
CLEAN関数とSUBSTITUTE関数の使い分け
元のデータを残したまま、改行を削除した結果を別セルに表示したい場合は関数を使います。代表的なのはCLEAN関数とSUBSTITUTE関数の2つで、それぞれ得意な用途が異なります。
CLEAN関数は、印刷できない制御文字をすべて削除する関数です。書式は「=CLEAN(文字列)」で、改行コード(CHAR(10))もこの制御文字に含まれるため、改行が削除されます。
=CLEAN(A1)
SUBSTITUTE関数は、指定した文字を別の文字に置換する関数です。改行のみを狙い撃ちで削除したい場合や、改行を半角スペースなど別の文字に置き換えたい場合に向いています。書式は「=SUBSTITUTE(文字列, 検索文字列, 置換文字列, [置換対象])」です。
=SUBSTITUTE(A1,CHAR(10),"")
改行を空文字に置換することで、結果的に改行が削除されます。空文字ではなく半角スペースに置き換えたい場合は、3番目の引数を” “(半角スペース)にしましょう。
2つの関数の使い分けは以下の表のとおりです。
| 用途 | CLEAN関数 | SUBSTITUTE関数 |
| 改行を一括削除 | ○ | ○ |
| タブ記号など他の制御文字も一緒に削除 | ○(まとめて削除) | ×(指定したものだけ) |
| 改行を別の文字(半角スペース等)に置換 | × | ○ |
| 特定の出現回数の改行のみ削除 | × | ○(第4引数で指定) |








DIME MAGAZINE












