年代別〜事業承継「適齢期」の60代が初の40%割れ 70代以上は30%を下回る
2023年の後継者策定動向は、引き続き50~60歳の「現役世代」を中心に大幅な低下傾向が目立った。「50代」の後継者不在率は60.0%と、全国平均に比べて高いものの、前年からの低下幅は全年代で最大となる5.7pt減だった。
事業承継の適齢期にあたる「60代」も50代に次いで低下幅が大きく(4.9pt減)、初めて40%を下回った。「70代」(29.8%)も初めて30%を下回った。また、全年代で後継者不在率は過去最低を更新した。
都道府県別〜三重県が3年連続で全国最低水準、改善度合いは都道府県ごとに濃淡も
都道府県で最も不在率が低いのは「三重県」で30.2%だった。
三重県では5年ぶりに前年を上回ったものの、2021・22年に続き3年連続で全国最低水準となった。同県では18年にピークとなる69.3%を記録して以降、不在率の急激な低下がみられる。「地域金融機関などが密着して支援を行っていることに加え、経営や商圏が比較的安定している企業も多い」などの理由から、子息など親族が経営を引き継ぎやすい環境が整っていることも背景にある。
このほか、不在率が全国平均(53.9%)を下回る都道府県は21に上った。
後継者不在率が最も高いのは「鳥取県」で、全国平均を大幅に上回る71.5%だった。
不在率が70%台となったのは、鳥取県のほか「秋田県」(70.0%)の2県のみだった。2011-20年の調査まで一貫して全国で不在率がトップだった沖縄県も低下が続き、全国5番目の水準となった。
後継者不在率が60%を下回る都道府県は35となり、過去最多を更新するなど、全国的に後継者問題は改善傾向へと向かっている。
ただ、前年から不在率が低下した都道府県は36に上ったものの、前年(41)に比べると減少するなど、改善度合いは地域によって濃淡もみられる。
業種別〜全業種で過去最低を更新、自動車ディーラーや病院・クリニックが高水準
業種別では、全業種で前年を下回ったほか、「建設業」を除く6業種で不在率60%を下回った。また、全業種で不在率が70%を下回るのは2022年に続き3年連続となり、全業種で過去最低を更新した。
23年の不在率が高いのは建設業(60.5%)となったものの、最も高かった2018年(71.4%)からは10.9pt低下した。「製造業」(45.5%)は全業種で最低だった。
業種をより細かくみると(中分類)、最も不在率が高いのは自動車ディーラーなど「自動車・自転車小売」の66.4%となり、病院・診療所(クリニック)など「医療業」65.3%が続いた。最も不在率が低いのは「化学工業・石油製品等製造」の37.6%で40%を下回る水準だった。