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『留意点』の持つ意味や詳しいニュアンスについて、分かったつもりで使っているものの、実はよく分からないと感じている人は少なくありません。『留意点』とはいったいどのような言葉なのか、使用例や『注意点』との違い・類語などをまとめて紹介します。
留意点とは?
『留意点』は、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。まずは、その詳しい意味について、混同されやすい言葉『注意点』との違いとともに解説します。
■心にとどめて気を付ける点
『留意点』の『留意』は、『ある物事について心にとどめておくこと・気を付けておくこと』を意味する言葉です。つまり『留意点』は、『心にとどめる対象・気を付ける対象』を意味します。
留意は強制力のない言葉のため、使うシーンや相手を選びません。対等な立場の相手はもちろんのこと、目下の相手・目上の相手であっても違和感や不快感を与えず使用できます。
留意点についても同様で、強制的なニュアンスはありません。『気を付けなければならない対象』というよりは『念のため気を付けておきたい対象』を指して使われる言葉です。
■注意点との違い
『注意』も、留意と同じく『気を付けること』を意味する言葉ですが、両者のニュアンスには少なからず違いがあります。
留意は、あくまでも心にとどめておくことを意味する言葉ですが、注意には『警戒』『用心』といったやや強い意味合いが含まれます。また、留意が強制力を持たない言葉である一方で、注意には一定の強制力があるのも大きな違いです。
『心にとどめる対象』『念のため注意する対象』と『警戒すべき対象』『用心すべき対象』とでは、受け取り手の抱く印象も変わります。つい同じ意味合いで使われがちな両者ですが、本来は必要な警戒度や相手によって使い分ける必要がある言葉です。
■留意の対義語
言葉の持つ意味やニュアンスへの理解をより深めるためには、反対の意味を持つ対義語について知ることが有効です。留意の対義語には、以下のようなものがあります。
- 油断:高をくくって気を抜くこと・隙を見せて注意を怠ること
- 失念:うっかりして忘れること・気の緩みから忘れること
- 漫然:ぼんやりして目的意識のないさま・とりとめのないさま
留意が心にとどめておくことや気を付けておくことを意味するのに対し、油断・失念・漫然はそれぞれ気を付けること・意識を向けることを怠った状態を表す言葉です。
留意点の使い方
留意点について、「意味やニュアンスは理解しているものの、実際の使い方となるとよく分からない」という人もいるのではないでしょうか。留意点を使いこなすヒントとして、主な使用シーンや実際の使用例を紹介します。
■保育や看護の現場で使われることが多い
留意点はさまざまな場面で使われる言葉ですが、中でも多く使われるのが、保育や看護の現場です。
というのも、保育や看護の現場は、必ずしも常に集中して意識を向ける必要はないものの、気に留めておいた方がよいことが多く存在する場所だからです。
このような現場において、しっかりと用心して警戒すること(=注意)を求められた場合、スタッフの手が回らず疲弊してしまいます。一方、気に留めておく程度(=留意)であれば、さほど負担感はありません。
注意を求めるには対象が多すぎる場合、ニュアンスを軽くする目的で使用されやすいのが留意といえます。
■ビジネスシーンでの留意・留意点の使い方
前述の通り、注意は一定の強制力を持つ言葉です。目上の立場の人に注意を求めた場合、「命令されている」と相手が不快に感じてしまう可能性は否定できません。
そこで、注意・注意点の代わりとして多く使われるのが、留意・留意点です。特に、目上の人と接する機会が多いビジネスシーンでは、留意・留意点が多く使われる傾向にあります。
以下、ビジネスシーンにおける留意・留意点の使用例を紹介します。
- 今回の視察での留意点は以上です。
- 会議の開始時間が変更になる恐れがありますのでご留意ください。
- 納期に遅れが出ないよう、進捗状況に留意します。
留意を用いることで、注意のような強制力が排除されます。ただし「留意ください」という言い回しは、それでも目上の人に対して失礼な印象を与えることもあるので、時と場合を加味して使うようにしましょう。
留意点の類語・言い換え表現
留意点をほかの言い回しで表現したい場合、適切な言葉にはどのようなものがあるのでしょうか。留意点の類語や言い換え表現をチェックしていきましょう。
■諸注意
『諸注意』の『諸』は『いろいろな』『多くの』『もろもろの』という意味を持つ言葉です。この『諸』が『注意』と合わさることにより、『配慮しなくてはいけないことが複数ある』という意味を持ちます。
以下、諸注意を使った例文を紹介します。
- そちらに記載されている諸注意に目を通しておいてください。
- オリエンテーションについての諸注意は以上になります。
- 諸注意をしっかりと聞いていたおかげでミスを防ぐことができた。
■配慮する点
『配慮』は、『心を配ること』『おもんぱかって取り計らうこと』といった意味を持つ言葉です。この『配慮』を『配慮する点』とすることで、『心を配る点』『おもんぱかって取り計らう点』という意味を持つ言葉になります。
なお、配慮は周囲への気遣いや思いやりを前提とする言葉のため、『留意』とはややニュアンスが異なります。以下、『配慮する点』の例文を紹介します。
- この案件について、配慮する点を教えていただけますか?
- 彼の回復は順調で、食事内容にこれといって配慮する点はないとのことでした。
- 配慮する点については事前に先方へお伝えしてあるので、心配はいりません。
構成/編集部