帝国データバンクは、2023年10月31日までに発生した「円安倒産」の発生状況について調査・分析を実施。結果をグラフにまとめて発表した。
「物価高倒産」、初の80件超え
燃料や原材料などの「仕入価格上昇」により収益が維持できず倒産した「物価高倒産」は、2023年10月に86件発生した。
月次ベースでは、10か月連続で過去最多の件数を更新し続けた2023年4月(75件)以降、落ち着きをみせつつあったが、6か月ぶりに過去最多を更新した。
また、10月までの累計件数は639件と、すでに前年(320件)の約2倍に達している。
要因別にみると、『原材料』『エネルギー』『包装・資材』の価格高騰がそれぞれ全体の約3割を占めるほか、『人件費』(14.9%)の上昇による倒産が前年同期(7.1%)を大幅に上回った。
また、物価高倒産のうち十分な価格転嫁ができず経営破綻に至った「値上げ難型」は36件判明、2022年通年(33件)を既に上回っている。
11月の飲食料品値上げ品が2022年以降で最少となるなど、値上げラッシュは収束傾向が見え始めている。
ガソリンや電気代といったエネルギーコストも政府の補助金により高騰に一定の歯止めがかかっているが、これまでの値上げによる企業経営へのダメージが残るなかで、賃上げなど人件費などの転嫁が困難な中小企業を中心に、「物価高倒産」が頻発する可能性がある。
調査概要
集計期間/2023年10月31日まで
集計対象/負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関/株式会社帝国データバンク
関連情報
https://www.tdb.co.jp/index.html
構成/清水眞希