業界別〜10業界中9業界が改善、各地の賑わいやIT需要などが好材料
行楽シーズンを迎え各種イベント開催やインバウンド需要に支えられ、各地の賑わいが好材料となった。そのほか、IT関連や半導体関連の需要が好調といった声もあり、10業界中9業界で改善した。他方、原材料価格の高止まりや慢性的な人手不足は下押し要因だった。
■運輸・倉庫(44.1)
前月比1.3ポイント増。3カ月ぶりに改善。「百貨店、商業施設、小売業等に関する物流が回復」(一般貨物自動車運送)というように需要の増加を実感する声があがった。またコスト増加による影響を受けつつも燃料に係る政府の補助金は一定の効果を与えている。さらに、バス旅行や学校送迎が増加したこと、各所でイベントが復活したことなどは貸切バスやタクシー利用で景気の押し上げ要因となった。
ただし、ドライバー不足や燃料価格の高止まりや、2024年問題に対する危機意識が高まりをみせている。
■小売(41.9)
同0.5ポイント増。6カ月ぶりに改善。一気に季節が進むなか衣替えのシーズンを迎え、婦人衣料を中心に「繊維・繊維製品・服飾品小売」(同6.1ポイント増)は3カ月ぶりに改善。インフルエンザの流行などで「医薬品・日用雑貨品小売」(同1.3ポイント増)は6カ月ぶりに上向いた。
他方、食品値上げよる買い控えが生じる「飲食料品小売」(同1.0ポイント減)や「各種商品小売」(同0.6ポイント減)はともに2カ月連続で悪化。価格高騰などで「家具類小売」(同9.1ポイント減)は2カ月ぶりに落ち込んだ。
■サービス(50.8)
同0.4ポイント増。3カ月ぶりに改善。好調なインバウンド需要に加え、行楽シーズンが好材料となり「旅館・ホテル」(同2.1ポイント増)は2カ月連続で改善した。レジャー、ビジネスともに好調なレンタカーなど「リース・賃貸」(同3.3ポイント増)も2カ月連続で改善し4カ月ぶりに50台に達した。インボイス需要は落ち着きがみられるが依然として引き合いの多い「情報サービス」(同0.5ポイント増)は3カ月ぶりに上向いた。
他方、人出は多くなっているものの、人件費や原材料費などの高騰ほか、節約志向の高まりなどにより「飲食店」(同4.4ポイント減)は3か月連続で悪化した。
■製造(41.1)
同0.3ポイント増。3カ月ぶりに改善。半導体関連の需要が順調といった声が複数あがる「鉄鋼・非鉄・鉱業」(同1.7ポイント増)は3カ月ぶりに改善した。「店舗関係の工事が多い」(建具製造)や「先進的窓リノベ事業など補助金が追い風」(板ガラス加工)といった明るい声が聞かれた「建材・家具、窯業・土石製品製造」(同1.3ポイント増)は3カ月連続で改善し10カ月ぶりに40台に回復。
他方、回復が続く自動車生産であるが、大手自動車メーカーの稼働停止を受け、売り上げ面で影響が出ているなどの声が寄せられた「輸送用機械・器具製造」(同1.4ポイント減)は9カ月ぶりに悪化した。また中国経済の減速などを受け「機械製造」(同0.5ポイント減)は3カ月連続で下向いた。
規模別〜全規模が5か月ぶりに改善、建設、製造、サービスは全規模で上昇
「大企業」「中小企業」「小規模企業」が小幅ながら5カ月ぶりにそろって改善した。企業規模により回復業種が異なるなか、『建設』『製造』『サービス』はすべての規模で上向いた。
■大企業」(47.9)
前月比0.1ポイント増。3カ月ぶりに改善。「広告関連」ではイベントやプロモーションなどが回復してきたほか、慢性的な人手不足が続くIT技術者などの人材派遣業は好調だった。一方で、中古車など自動車小売は下押し要因となった。
■「中小企業」(44.1)
同0.3ポイント増。3カ月ぶりに改善。マンション建設が堅調ななか、建設資材などの荷動きが活発化した。また「相場高値による販売価格の上昇」(養鶏)や「例年より魚価が高めで推移」(まき網漁業)など、『農・林・水産』が上向いた。
■「小規模企業」(43.4
同0.4ポイント増。2カ月ぶりに改善。「バス旅行や学校送迎が増加」(一般貸切旅客自動車運送)などバス需要が表れた。多くの受注があるソフトウェア業も堅調。『小売』は来客数の増加がプラス材料となるなど4カ月ぶりに改善へと転じた。