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「了解しました」は目上の人に対して使える敬語か否か?

2024.01.02
『了解しました』は、仕事やビジネスシーンでよく用いられる表現です。敬語としては間違っていませんが、使う相手を見極めなければなりません。目上の人に失礼にならない言い換え表現やTPOに気を付けた方がよいフレーズを紹介します。

「了解しました」は目上の人に使える敬語?

仕事やビジネスシーンでは、TPOに合った正しい敬語を使う必要があります。『了解しました』という表現は、敬語として正しいのでしょうか?

■敬語の丁寧語に該当

『了解(りょうかい)』とは、事情や内容を理解した上で承認することです。『しました』は『する』の丁寧語『します』の過去形であり、了解しましたは敬語の丁寧語に該当します。

敬語は、尊敬語・謙譲語1・謙譲語2(丁重語)・丁寧語・美化語に区分されます。

  • 尊敬語:相手側または第三者の行為などについて、その人物を立てて述べる
  • 謙譲語1:自分側から相手側または第三者に向かう行為などについて、その向かう先の人物を立てて述べる
  • 謙譲語2:自分側の行為などを話や文章の相手に対して丁重に述べる
  • 丁寧語:話や文章の相手に対して丁寧に述べる
  • 美化語:『お皿』など、物事を美化して述べる

丁寧語は敬語ですが、相手や第三者の行為を立てて述べるものではない点に注意が必要です。ここでいう『立てる』とは、言葉の上で人物を高く位置付けることを意味します。

出典:敬語の指針 第1 敬語の種類と働き|文化庁

■使える相手とシーン

相手を立てる表現ではないため、部下や後輩といった『目下の相手』に使うのが適切です。上司やクライアントに対して「了解しました」と言えば、ややぶしつけな印象を与えるでしょう。

謙譲語の補助動詞『いたす』を用い、「了解いたしました」と返答する人もいますが、目上の人には使わない方が無難です。敬語としては正しいものの、了解という言葉自体がフランクな印象を与えるため、他の表現を使いましょう。

なお、目上であってもごく親しい間柄であれば、了解を使っても問題ない場合があります。

目上の人にはどう返答・返信する?

電話応対

(出典) pixta.jp

『了解しました』は使い勝手の良い表現ですが、目上の人には使わないのが基本です。上司やクライアント、敬うべき相手に対しては、どのように返答・返信するのが望ましいでしょうか?

■敬意を表現するなら「かしこまりました」

『了解しました』は、『かしこまりました』に言い換えが可能です。『かしこまる(畏まる)』は、「分かりました」の謙譲語で、目上の命令・依頼を謹んで承る意を表します。

数ある言い換え表現の中では最上級の丁寧さであり、目上の人への返答・返信にはふさわしい表現といえるでしょう。

ただし、堅苦しく感じる人もいるため、直属の上司に対しては「承知しました」と言う方がしっくりくるかもしれません。クライアント・会社の重役など敬うべき相手には、『かしこまりました』を使いましょう。

■「承知しました・承知いたしました」が一般的

上司に対する返答・返信は、『承知しました』『承知いたしました』が一般的です。『承知(しょうち)』とは、依頼・要求などを聞き入れることです。

承知するという言葉は敬語ではありませんが、承の字を使った「承る(うけたまわる)」が謙譲語なので、承知するを謙譲語と見なす考え方もあるようです。

承知いたしましたは一見、二重敬語(※)のようですが、いたしましたの『いたす』のみが謙譲語であり、二重敬語には該当しません。

※二重敬語:一つの語について、「尊敬語+尊敬語」といった同じ種類の敬語が重複していること。習慣として定着しているものもあるが、一般的には適切ではないとされます。

■クライアントには「承りました」も使いやすい

『承りました(うけたまわりました)』の『承る』は、受ける・聞く・伝え聞く・引き受けるの謙譲語です。直属の上司に対しても使えますが、以下のように、クライアントや敬うべき相手の伝言を引き受けるときに使うのが一般的です。

  • ご予約を承りました
  • 承りました。担当の〇〇に申し伝えます

うけたまわるを『受け賜わる』と表記する場合もあります。『承る』は、伝言・要望・依頼などの目に見えないものに使い、『受け賜わる』は目上の相手から物品や恩恵の授受があった際に使えます。

「了解しました」の他に注意すべき表現は?

パソコンを操作する手元

(出典) pixta.jp

仕事やビジネスで当たり前に使っている表現が、実は丁寧さに欠けていたり、不適切だったりするケースがあります。特に、目上の人やクライアント、敬うべき相手に使うべきではない表現をピックアップして紹介します。

■「どうしますか」はTPOに気を付ける

了解しましたと同様、『どうしますか』は、敬語の丁寧語に当たります。敬語としては正しいですが、目上の人に対する表現としてはあまりふさわしくありません。親しい上司や先輩を除いては、以下のように表現を変えましょう。

  • どうなさいますか
  • いかがなさいますか
  • どういたしますか
  • いかがいたしますか

『~なさいますか』は尊敬語、『~いたしますか(いたしましょうか)』は謙譲語です。尊敬語は相手を敬う表現であり、謙譲語は自分がへりくだることで相手を高める表現です。『どう』よりも『いかが』を使った方がより丁寧な印象を与えます。

■「ご苦労さまです」は目下の相手をねぎらう言葉

『ご苦労さまです』は、目上が目下に使うねぎらいの表現です。くれぐれも、上司には使わないようにしましょう。

直属の上司や先輩には、『お疲れさまです』が正解です。社長や重役には、より丁寧な『お疲れさまでございます』という表現が適しています。

『お疲れさまでございます』は二重敬語ではないかという人もいます。しかし「お疲れさま」は名詞または形容動詞です。同じ種類の敬語が2回以上使われていないため、二重敬語には該当しません。

なお、社外の人には「お世話になっております」や「ありがとうございます」を使いましょう。お疲れさまは、社内でのみ通用する言葉です。

構成/編集部

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