時代遅れの設計を大改造する新生『Vポイント』
太田社長の切り札はそれだけではなかった。
日本最大のポイントサービス『Tポイント』を、三井住友FGの『Vポイント』と統合させる計画を打ち出し実現させたのだ。
Tポイントは地方都市でも利用者は多いが、残念ながら2023年の現代では時代遅れの設計が目立っている。たとえばTカード機能付きクレジットカードというものがあるが、実店舗で買い物をする際に「Tポイントの付与」と「クレカによる決済」の動作が一元化されていないのだ。
レジ係の店員に「Tカードはお持ちですか?」と言われ、端末にTカード内蔵クレカを通す。その後、「お会計は○○円です」と言われクレカ(先程と同じカード)を差し出す。つまりTポイントをもらうとしたら、決済までに二挙動必要なのだ。
この点について筆者は以前記事にしたが、来年春にサービスが開始される新生Vポイントは「ワンオペレーション」機能が搭載されている。
これにより、ポイント付与と決済を一元化する。店員も「Vポイントはご利用ですか?」などと客に質問する必要はなくなり、業務の大幅効率化につながると期待されている。
船出前の逝去
旧態依然としたTポイントがVポイントと統合し、さらにOliveと接続することでコペルニクス的転回が起こる可能性は極めて高い。が、太田社長は新サービスの本格的な船出を見る前に旅立ってしまった。
新興企業ではなく、日本人なら誰もが知っている巨大金融機関がこうした仕組みを整備したという功績はこの記事だけで書き切れるものではない。
Oliveと新生Vポイントは、まさに日本のキャッシュレス決済情勢に多大なインパクトを与え得るほどの有力プレイヤーだ。病と戦いながらも太田社長が繰り出した切り札は、我々の生活を間違いなく進歩させてくれるだろう。
【参考】
Olive-SMBC
https://www.smbc.co.jp/kojin/olive/index.html
CEOメッセージ-SMBC
https://www.smfg.co.jp/gr2023/ceo/
個人のお客さま向けの総合金融サービス「Olive」2023年3月1日より申込受付開始
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000296.000032321.html
取材・文/澤田真一
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