あらゆる人のスキルをアップデートするリスキリングに取り組むため、国や地方自治体、企業など200以上の参画団体から構成する「日本リスキリングコンソーシアム」(主幹事:グーグル合同会社)は、会員登録者2009名を対象に、リスキリングの成果に関する調査を実施。回答結果をグラフにまとめて発表した。
回答者の約65%がトレーニングプログラム受講(リスキリング)による成果を得ていた
日本リスキリングコンソーシアムのトレーニングプログラム受講(リスキリング)により、回答者2009名の63.3%が成果を得たことがわかった。
「成果がでている」と回答した1272名に具体的な内容を聞いたところ、回答率が高い順に「デジタルスキルが向上した」45.0%、「業務に必要な知識やスキルが身についた」33.1%、「担当できる業務領域が広がった」11.3%、「業務の生産性が向上した」9.6%、「同僚・上司とのコミュニケーションがスムーズになった」4.3%、「その他」1.0%となっている。
なお、この順位は、男女別、居住地別(分類:首都圏1都3県・他43道府県)に集計しても同じ結果となったという。
■リスキリング成果を得た割合は女性より男性のほうが多い
全回答者2,009名を性別(男性:1360名、女性:607名、その他・回答しない:42名)で見た場合、リスキリング成果を得たそれぞれの割合は、男性が69.2%いるのに対し、女性は50.9%に留まった。
成果の内容についても、「その他」を除く全ての項目で男性が女性を上回る結果が得られている。
■居住地別のリスキリング成果を得た割合は、首都圏のほうが地方よりも多い
全回答者2009名の居住地を、首都圏(1都3県、1,156名)、地方(他43道府県、833名)、海外(20名)に分けた場合、リスキリング成果を得たそれぞれの割合は、首都圏が65.0%で、地方が60.9%となった。
成果の内容についても、「同僚・上司とのコミュニケーションがスムーズになった」を除く全ての項目で、首都圏が地方を上回る結果が出ている。
リスキリングをした分野TOP3「データ分析」「マーケティング」「AI」
リスキリングのために受講したトレーニングプログラムの分野は、回答率が高い順に、「データ分析」65.9%、「マーケティング」20.2%、「AI」16.1%、「クラウド」6.6%、「クリエイティブ」6.5%、「デザイン」5.8%、「サイバーセキュリティ」4.6%、「テレワーク・働き方改革」3.2%、「キャリアコンサルティング」1.8%、「学校教育」1.2%、「DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)」1.1%、「その他」1.1%となった。
■7割以上がトレーニングプログラム受講後、「リスキリングの重要性が増した」と回答
日本リスキリングコンソーシアムのトレーニングプログラム受講の前後で、リスキリングの重要性が変化したかを聞いたところ、45.3%が「やや重要性が増した」、27.9%が「とても重要性が増した」と回答。合わせて73.2%がリスキリングの重要性が増したことがわかった。
トレーニングプログラム受講後、6割以上がキャリアアップに向けた行動を開始
日本リスキリングコンソーシアムのトレーニングプログラム受講後、回答者の61.4%がリスキリングやキャリアに関する行動を起こしたことが判明。
具体的な内容は、回答率が高い順に「新たにリスキリングを開始した」22.9%、「リスキリングが習慣化した」20.7%、「キャリアプランを見直した」14.5%、「リスキリングを他者に勧めた」13.2%、「就職・転職活動を開始した」9.8%、「新たなプロジェクトに参画した」7.0%、「副業を始めた」2.8%、「その他」1.5%、「異動願いを出した」1.2%、「起業した」0.3%となっている。
調査結果について
日本リスキリングコンソーシアム
主幹事 グーグル合同会社
シニアマーケティングマネジャー 岡村有人 氏
今回の調査では、プログラム受講分野のトップ3が「データ分析」「マーケティング」「AI」であり、日本における変化の推進力となるスキルに対し、受講者の方々の関心が高まっていることが見て取れます。
また、その受講成果として「デジタルスキルが向上した」「業務に必要な知識やスキルが身についた」といった回答が上位にあることから、日本リスキリングコンソーシアムのトレーニングプログラムの成果が着実に生まれていることがわかりました。
一方で、性別や居住地による傾向が改めて可視化されました。特に今回の調査では、男性の約7割が成果を得られていると回答しているのに対し、女性は約5割にとどまっています。
日本社会の人材育成・活躍推進においてジェンダーギャップは大きな課題です。日本リスキリングコンソーシアムとしても、こうしたギャップを埋めるリスキリング支援策をより強化しています。
そのほか、調査結果の注目すべき点として、トレーニングプログラム受講後に7割以上の方々の「リスキリングの重要性」が増しており、具体的なアクションとして、6割以上の方がキャリアアップに向けた行動を開始しています。
このことから、日本リスキリングコンソーシアムのパートナーシップの輪をより一層広げ、社会のニーズに合わせたプログラムの拡充や、受講後の幅広い就業機会の創出、経済同友会との取り組みをはじめとするコンソーシアム独自の連携施策などを推進していくことが、人々のキャリアアップの機会をより多く生み出し、日本の人材流動性向上に寄与できると考えられます。
関連情報
https://japan-reskilling-consortium.jp
構成/清水眞希